2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590247
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 秀和 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (70273638)
|
Keywords | ニコチン / シナプス / 可塑性 / スパイン |
Research Abstract |
我々は21年度までに、蛍光タンパク質GFP遺伝子を導入したラット海馬培養神経細胞を用いてニコチン刺激によるスパイン(シナプス後膜構造)の形態学的変化を生きた状態で観察する実験系を確立した。ニコチン刺激によりスパインの頭部から細長い形をした、針状の突起が伸展することを見いだした。また、このスパインの形態学的変化はα7ニコチン性アセチルコリン受容体を介して引き起こされていることを明らかにした。α7ニコチン性アセチルコリン受容体は脳内に幅広く分布しており、シナプスにも多く発現していることが知られている。このα7ニコチン性アセチルコリン受容体はカルシウムイオン透過性の受容体であり、活性化することで細胞内カルシウム濃度に変化を引き起し、種々の神経活動に影響を及ぼすことが知られている。このことから、ニコチン刺激による神経細胞内のカルシウム動態を観察することを目的として、カルシウムインジケーターであるFluo4を用いて生きた神経細胞の細胞内のカルシウム動態を観察できる実験系を確立した。現在この実験系を安定化させることに成功し、ニコチン刺激による細胞内カルシウム濃度の変化を測定中である。また、シナプス周囲が空虚な状態である培養神経細胞とは異なり、我々の脳内ではシナプスの周囲は星状膠細胞によって支持されており、シナプスが培養細胞と同じような挙動を示さない可能性がある。そこで、現在我々はニコチン摂取によるシナプスの生体内での形態学的変化を観察する実験系の構築を試みている。現在、より生体に近い条件下でシナプスの構造変化を観察するために海馬切片培養を用いて観察を行っている。それに加え、実際の生体内でのシナプス構造変化を観察するため、ニコチンパッチにより経皮的にニコチンを摂取させたラットの脳切片を用いて、鍍銀染色あるいは電子顕微鏡下でシナブスの形態学的変化を観察する実験系を構築中である。
|