2007 Fiscal Year Annual Research Report
ミクログリアに発現する新規α7ニコチン受容体の機能解析と神経変性防御に果たす役割
Project/Area Number |
19590249
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秀 和泉 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (20253073)
|
Keywords | ニコチン / ミクログリア / アセチルコリン / カルシウム / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
α7ニコチン性アセチルコリン(α7)受容体は、神経細胞に発現しカルシウム透過性の高いイオンチャネルとして神経伝達調節や神経保護作用に役割を果たすことが知られている。しかし、ミクログリアに発現するα7受容体はイオンチャネルとしての性質を示さず、ホスホリパーゼC活性化を介してIP_3感受性細胞内ストアからカルシウム放出を引き起こす。同じα7受容体でありながら細胞により異なるシグナルを引き起こす機序を明らかにする目的で、今年度は以下の検討を行った。 1.ミクログリアのα7受容体の塩基配列をRT-PCR法により決定した。その結果、ミクログリアのα7受容体は神経細胞のα7受容体と同一の構造を持つことが明らかとなった。 2.α7受容体は形質膜のみならず細胞内器官にも局在する。細胞膜透過性のニコチンと細胞膜非透過性のアセチルコリンの作用を比較した結果、両者はほぼ同じ作用を示し、ニコチンで認められた作用は細胞表面のα7受容体を介した反応であることが示された。 3.Giタンパク質阻害薬である百日咳毒素はニコチンの作用に無影響であったことから、少なくともGi/oとの共役の関与は否定された。 4.チロシンキナーゼ阻害薬genisteinおよびsrc-familyチロシンキナーゼ阻害薬PP-2により、ニコチンのカルシウム上昇反応は抑制されたことから、ミクログリアのα7受容体はイオンチャネル活性を持たずsrc-familyチロシンキナーゼの活性化を介してホスホリパーゼCを活性化する可能性が示された。 来年度はさらにイオンチャネル受容体がチロシンキナーゼ活性化を介して代謝型シグナルを発生させるメカニズムを生化学的に解析する。
|
Research Products
(4 results)