2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590252
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
大石 了三 Kyushu University, 大学病院, 教授 (90112325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江頭 伸昭 九州大学, 大学病院, 准教授 (80352269)
伊藤 善規 岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (50159927)
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Keywords | アムホテリシンB / 腎障害 / ネクローシス / 細胞膜 / コレステロール / 小胞体 / ミトコンドリア / カルシウム |
Research Abstract |
(研究目的)アムホテリシンBは、全身性の真菌感染症に対する最も有効な治療薬の一つであるが、毒性が強く、低カリウム血症や心不全、急性腎不全などを引き起こすことが知られており、中でも腎障害の発現頻度は非常に高い。しかしながら、アムホテリシンBによる腎障害の詳細な発現機序は解明されておらず、有効な予防策も確立されていない。本研究では、培養腎細胞を用いて評価モデルの作製を行い、アムホテリシンBによる腎障害の発現機序に関する検討を行った。 (研究方法)アムホテリシンBをブタ近位尿細管由来LLC-PK1細胞に曝露することにより細胞障害を誘導し、WST-8法および乳酸脱水素酵素(LDH)活性測定法により、細胞生存率を測定した。アポトーシスおよびネクローシスの判定には、TUNEL色法およびpropidium iodide(pI)染色法を用いた。また、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて細胞内ArP量を測定した。細胞内Ca^<2+>濃度はFluo3-AMを用いて検討し、ミトコンドリア機能の評価にはミトコンドリア膜感受性試薬JC-1を用いた。 (研究成果)アムホテリシンBをLLC-PK1細胞に曝露すると、濃度および時間依存的に、ネクローシスに基づく障害が引き起こされた。その障害は、細胞膜コレステロールを枯渇させることで抑制されたことから、障害の発現には、アムホテリシンBの細胞膜コレステロールへの結合が関与することが示唆された。さらに、低Na^+条件下や、細胞内Ca^<2+>キレート剤BAPTA-AM、リアノジン受容体阻害剤およびミトコンドリアNa^+/Ca^<2+>exchanger阻害剤の存在下では、細胞障害の発現が顕著に抑制されたことから、細胞内へのNa^+の流入や、小胞体およびミトコンドリア由来のCa^<2+>の上昇が、アムホテリシンBによる腎細胞障害の発現に関与することが明らかとなった。
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