2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内ニトロ化シグナルのグルタチオンによる制御機構の解明
Project/Area Number |
19590253
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤井 重元 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 助教 (00325333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤池 孝章 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (20231798)
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Keywords | 一酸化窒素 / グルタチオン / サイクリックGMP / ニトロ化 / 8-ニトロcGMP / S-グアニル化 |
Research Abstract |
本研究は、我々が最近発見した新規環状ヌクレオチド8-ニトログアノシン-3'、5'-環状1リン酸(8-ニトロcGMP)によるチオール基に対するcGMP付加反応(S-グアニル化)の細胞内シグナルにおける役割と、細胞グルタチオンによるその制御機構を解明することを目的としている。本年度は、細胞内で生成するグルタチオン-cGMPアダクト(8-GS-cGMP)の検出、8-GS-cGMPの血管平滑筋弛緩活性の解析、蛋白質のS-グアニル化に対するグルタチオンの影響の解析を行った。LPSとIFN-γで刺激したRAW264.7細胞では、8-ニトロcGMPの産生に伴い8-GS-cGMPが生成することを、HPLC-電気化学検出法を用いて明らかにした。8-GS-cGMPはラット頸動脈リングにおいて血管平滑筋弛緩反応を惹起したが、ホスホジエステラーゼ1および5では分解されず、cGMPとは異なる特性を有することが示された。また、S-グアニル化蛋白質に対する抗体を用いた蛋白質のS-グアニル化を検出する方法(HPLC法、ウエスタンブロット法、免疫染色法)を確立し、RAW264.7細胞において観察されるLPS、IFN-γ刺激による蛋白質のS-グアニル化が、グルタチオン生合成の阻害剤で顕著に増加することを明らかにした。これらのことから、グルタチオンは細胞内で8-ニトロcGMPと反応して、生理的シグナル分子である8-GS-cGMPを生成するとともに、蛋白質のS-グアニル化を調節する制御因子となっていることが示唆された。
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