2007 Fiscal Year Annual Research Report
GSK-3β活性による神経シンスリン受容体シグナル分子群発現・リン酸化調節機構
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19590254
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
横尾 宏毅 University of Toyama, 医学薬学研究部(医学), 准教授 (30332894)
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Keywords | GSK-3β / インスリン受容体 / シグナル伝達 / 蛋白膜発現 / 神経系細胞 |
Research Abstract |
神経堤由来の培養副腎髄質クロマフィン細胞において、Glycogen synthase kinase-3β(GSK-3β)阻害薬(Lithium、Valproic acid、SB216763、 SB415286)、インスリンなど、GSK-3β活性を低下させる薬物及び生理活性物質をメディウム中に添加、長時間(24時間以上)暴露させると、細胞内のインスリン受容体蛋白質レベルは減少(Western blot)、細胞表面受容体発現も減少(^<125>I-インスリン結合実験)した。また、蛋白質レベル減少に伴い、細胞外から刺激を受けた受容体タイロシンカイネースリン酸化レベルも減少していた。さらに受容体発現レベル減少のメカニズムについて解析を進めたが、Northern blot法を用いた検討では受容体mRNAレベルの減少を認めたが、各種蛋白質分解酵素阻害薬(Lactacystin、Calapastatin、Leupeptin)を用いた検討ではコントロール群と比較して有意な差を認めなかったことから、GSK-3β活性低下は、インスリン受容体mRNAレベルを減少させて、受容体発現を減少させる機構が存在することが示唆された。一方、受容体発現が低下している処置細胞のメディウムをnormalメディウムに置換、GSK-3β構成的活性の回復を図ると、受容体の細胞膜発現量は増加に転じた。以上のことから、神経系細胞において、GSK-3β構成的活性はインスリン受容体細胞膜発現、細胞内インスリン受容体シグナルを保持するために必要不可欠である一方、シグナルを受けて生じるGSK-3β活性低下はインスリン受容体発現を減少させ細胞内シグナルを減少させること、つまりは、適正なインスリン受容体シグナルを保つために、GSK-3β活性が受容体シグナルに対してスイッチの役割を担っていることが示された。
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