2007 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスP受容体を標的とした新規抗うつ薬の探索と脳機能画像による有効性評価
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19590261
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (30221328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20213663)
須原 哲也 独立行政法人 放射線医学総合研究所, グループリーダー (90216490)
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
池田 裕美子 日本医科大学, 医学部, 助教 (10386154)
八幡 憲明 日本医科大学, 医学部, 助教 (70409150)
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Keywords | 機能的磁気共鳴撮像法 / セロトニン神経系 / 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 / 認知機能 / サブスタンスP受容体 / 陽電子断層撮像法 |
Research Abstract |
1)新規サブスタンスP受容体リガンド[18F]FE-SPA-RQの薬物動態に関する陽電子断層撮像(PET)研究 ヒトにおける検討に先立ち、マウスを用いて前臨床安全性試験を行い、本リガンドの安全性を確認した。現在ヒトを対象として、脳内薬物動態試験を行い、基礎データを収集している。 2)機能的磁気共鳴撮像法を用いた薬理学的研究(薬理学的fMRI) 現在汎用されている選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)フルボキサミンを検査対象の抗うつ薬として用いた。健康成人10名に本薬物を急性単回投与し、MRI装置内でストループ型干渉課題を遂行させ、認知機能に関与する前頭葉ないし大脳辺縁系の活動を計測した。干渉課題遂行時における脳活動をコントロール課題遂行時に対して比較したところ、プラセボ投与下では概ね全ての被験者において、帯状回から運動野にかけての領域、大脳辺縁系における尾状核・被殻、また視覚野、小脳に賦活が認められた。さらに各部位におけるBOLD信号の時系列データを抽出・解析したところ、各部位における活動の時間的変動が互いに連関することが分かった。すなわち本課題のような注意力が要求される認知課題遂行過程では、これらの領域が相関して機能することが示された。一方、フルボキサミン服用下では、これらの領域の多くで賦活の低下が認められ、その傾向は特に帯状回-運動野から大脳辺縁系にかけて顕著であることが分かった。帯状回周辺領域は、注意や情動などの認知機能で重要な役割を果たすことが知られており、SSRIはこれらの機能の一部を低下させる可能性が示唆された。抗うつ薬の作用機構の神経基盤を探る上で、薬理学的fMRIは有用な研究手段になりうると考えられた。
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Research Products
(5 results)