2009 Fiscal Year Annual Research Report
サブスタンスP受容体を標的とした新規抗うつ薬の探索と脳機能画像による有効性評価
Project/Area Number |
19590261
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 Nippon Medical School, 大学院・医学研究科, 教授 (30221328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (20213663)
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
池田 裕美子 日本医科大学, 医学部, 助教 (10386154)
坂井 敦 日本医科大学, 医学部, 助教 (30386156)
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Keywords | サブスタンスP神経系 / セロトニン神経系 / 5-HT1Aセロトニン受容体 / NK-1タキキニン受容体 / うつ・不安動物モデル / 選択的セロトニン再取り込み阻害薬 / 脳由来神経栄養因子 / 前頭前野 |
Research Abstract |
うつ・不安動物モデルとして、妊娠時ストレス負荷によって仔動物が成長後うつ・不安様行動異常をしめすラットモデルを確立し、セロトニン神経系とサブスタンスP神経系の相互作用について検討した。ストレス負荷として妊娠後期にデキサメサゾンを投与すると、雄仔ラットにおいて生後10週以降、明暗選択試験およびオープンフィールド試験において不安様行動を呈した。分子生物学的検討では、生後4週および12週齢の前頭前野において、セロトニン受容体5-HT1A mRNAの発現低下がみられた。一方、12週齢のタキキニン受容体NK-1mRNAには変化が見られなかった。セロトニン神経系の変化がみられたことから、治療の可能性を検討するために、母乳から仔への薬物移行を期待し、母ラットに授乳期間中、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を経口投与した。成長後の行動試験によって、SSRI投与群では不安様行動が消失していることが確認された。同時に、5-HT1A mRNAの発現も4週時点で非ストレス対照群と差がなかった。さらに神経系の発達に大きく関与する脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現を検討したところ、ストレス負荷群で生後4週の前頭前野BDNFタンパク量の低下がみられ、SSRIを投与することによって、その発現低下も回復していた。以上の結果から、本うつ・不安モデルの発達期においては、セロトニン神経系とSP神経系はそれぞれ異なった発現変化を示し、成長後の行動異常については前頭前野セロトニン神経系の関与が重要であることが示唆された。発達期セロトニン神経系変化の分子基盤としてBDNFが関与している可能性も考えられた。
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Research Products
(5 results)