2008 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病モデル動物においてATP・アデノシン系は虚血心の交感神経を保護するか?
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19590263
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
篠塚 和正 Mukogawa Women's University, 薬学部, 教授 (50117777)
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Keywords | ATP / アデノシン / メタボリックシンドローム / 虚血心臓 / 血管交感神経 / 保護作用 / 血管内皮細胞 / 虚血再潅流 |
Research Abstract |
今年度は、神経伝達調節機構の変化と病態の関係を追求するとともに、虚血状態下でのアデノシン・ATP系の保護的役割について解明した。 1.電気的神経刺激によるラット摘出尾動脈交感神経からのノルアドレナリン遊離をニコランジルが作用すること、この抑制作用はグリベンクラミドとトルブタミドによって拮抗され、平滑筋のKATPチャネル阻害薬のPNU-37883Aでは影響ないこと、さらにこのような作用はSHRやSHR.Cg-Leprcp/NDmcratsで著しく減弱していた事を明らかにし、交感神経に抑制性のKATPチャネルが存在すること、このKATPチャネルは平滑筋のKATPチャネルとは異なること、さらに上記病態動物においてこのような神経性KATPチャネル機能が低下していることを示唆した。 2.ラット心房標本において、低酸素負荷はその心拍数および収縮力を有意に減弱させた。一方、アデノシン受容体拮抗薬の8-sulfophenyl theophylline(8SPT)前処理は、低酸素負荷による心拍数・収縮力の減少には影響しなかったが、酸素通気再開による収縮力の回復を有意に促進した。一般的に、低酸素環境下では組織からアデノシンが細胞外へ大量に放出されることが知られている。このアデノシンによる心収縮抑制作用が8SPTで拮抗されたため、酸素通気再開による収縮力の回復が8SPTで増強されたものと推察された。本研究より、高血圧や生活習慣病などの病態下では交感神経のKATPチャネルによる抑制性調節系機能も減弱していることが示された。またアデノシン・ATP系の調節機構は、酸素濃度が低酸素から正常レベルに戻る時期(虚血再潅流状態)に、心機能の回復に対して抑制的に影響していることが示された。これは過剰な機能回復の低減による組織保護に関連している可能性を示すもので、交感神経においても起こりうると考えられる。今後はこの点を解明するとともにアデノシン・ATP系とKATPチャネルの関係においても明らかにしていく必要がある。
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Research Products
(3 results)