2009 Fiscal Year Annual Research Report
免疫細胞ホーミングにおけるレチノイン酸分解系の役割の解析
Project/Area Number |
19590264
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Research Institution | Tokushima Bunri University |
Principal Investigator |
竹内 一 Tokushima Bunri University, 香川薬学部, 助教 (00421298)
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Keywords | 生体分子 / 発現制御 / 免疫学 / ホーミング |
Research Abstract |
1.CYP26阻害剤によるホーミング受容体発現の変化 内在性CYP26の酵素活性を抑制することで、小腸ホーミング受容体の発現にどのような影響が表れるかを検討するため、CYP26阻害剤存在下でのレチノイン酸によるCCR9発現誘導の変化を調べた。マウスから単離されたナイーブCD4陽性T細胞をレチノイン酸存在下で活性化させる際にCYP26阻害剤であるLiarozoleを添加して培養し、それらの細胞におけるCCR9の発現をFACSで解析した。その結果、Liarozole添加群では非添加群に比べ、CCR9陽性細胞の比率が約25%上昇したことが明らかになった。 2.サイトカインがCyp26b1の発現誘導に与える影響の解析 T細胞の分化はサイトカインの影響を受けるが、この際に小腸ホーミング受容体の発現も変化する。そこで、各種サイトカインがレチノイン酸によるCyp26b1の発現誘導にどのような影響をあたえるか検討した。マウスから単離されたナイーブT細胞をレチノイン酸存在下で活性化させ、さらに各種サイトカインを添加して、Cyp26b1の発現を観察した。その結果、IL-12添加群では、コントロール群に比べ、レチノイン酸によるCyp26b1の発現誘導が有意に低下した。一方、TNF-α添加群では、コントロール群に比べCyp26b1の発現誘導が5倍以上上昇した。これらの結果より、T細胞がサイトカイン刺激を受けることで、レチノイン酸によるCyp26b1の発現誘導が変化することが明らかになった。特にTNF-α添加によりレチノイン酸によるCyp26b1の発現誘導が増強されたことは、炎症状態では、内在性のCyp26b1の発現が亢進しT細胞がレチノイン酸抵抗性に傾く可能性があることを示唆している。
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