2008 Fiscal Year Annual Research Report
EGF依存的に神経幹細胞で発現する転写因子、その動態と分化制御機構の解析
Project/Area Number |
19590271
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
内田 孝幸 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (80334093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石崎 泰樹 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90183003)
倉知 正 群馬大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (20271546)
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Keywords | 神経幹細胞 / アストロサイト / 小脳 / 分化 / Notch |
Research Abstract |
幼弱マウス小脳から得られるEGF反応性増殖細胞は、自己複製能と多分化能という神経幹細胞としての性質を有する。本研究では、このEGF反応性神経幹細胞を純化する方法を確立し、さらにNotchシグナルによる未分化性維持機構について解析を行った。まず、磁気ビーズを用いた細胞分離(MACS)を行った結果、prominin-1陽性細胞画分がEGF反応性神経幹細胞を多く含むことが明らかとなった。この細胞はサイトカインBMP2やCNTFの作用により選択的にGFAP陽性アストロサイトへと分化するが、アデノウイルスを用いてNotch細胞内領域(NICD)を予め過剰発現させておくと、BMP2やCNTFによるアストロサイトへの分化が抑制された。RT-PCRによりNotch標的因子の発現解析を行った結果、アストロサイト分化時にはHes5 mRNAが減少していた。一方NICDを過剰発現させた細胞では、Hes5の発現が増加しており、BMP2やCNTF刺激後もその高い発現は維持された。以上の結果から、EGF反応性神経幹細胞においては、Notchの下流でHes5が働くことでアストロサイトへの分化が抑制され未分化状態に維持されることが示唆された。従来、Notchシグナルはアストロサイトへの分化を促進すると考えられていたが、「神経幹細胞が発生過程のどの時期にどの部位に存在するかによってNotchシグナルが活性化されてもその働きが異なる」という考えを提唱する成果となった。
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