2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着分子ネクチン-アファディン系と細胞極性因子による細胞極性の形成機構
Project/Area Number |
19590276
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 直之 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50403192)
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Keywords | 細胞間接着 / 細胞極性 / ネクチン / アファディン / 細胞極性因子 / AJ / TJ |
Research Abstract |
タイトジャンクション(TJ)の形成には多くの細胞極性因子が関与している。aPKCとPar-6、Lg1の3つの細胞極性因子は三者複合体を形成しているが、Cdc42がPar-6と結合すると、aPKCが活性化されてLglをリン酸化する。リン酸化されたLglは三者複合体から解離して、その代わりにaPKCとPar-6の二者複合体に細胞極性因子Par-3が結合して新たな三者複合体を形成し、これがJAMに結合する。これらのいずれの過程を阻害しても、TJは形成されなくなるので、これらの細胞極性因子はTJの形成には必須であるとされていた。最近、私の研究室では、細胞間接着形成初期にアドヘレンスジャンクション(AJ)分子であるネクチンがPar-3と直接結合していることを明らかにした。そこで私は、Par-3複合体はネクチンとアファディンとともに、TJの形成だけでなくAJの形成にも関与しているのでないかと考え、RNA干渉法を用いて細胞極性因子をノックダウンし、細胞間接着形成初期の細胞極性因子の影響を詳細に検討した。興味深いことにPar-3、Par-6、aPKCのいずれをノックダウンしても、ネクチン依存性の細胞間接着は形成されるものの、アファディンが細胞間接着部位から消失し、E-カドヘリン依存性のAJやTJは形成されなかった。また、Par-3をノックダウンした条件下でアファディンを強制発現させたところ、アファディンは細胞間接着部位に濃縮するが、AJやTJの再形成は認められなかった。したがって、これらの細胞極性因子は、AJの形成においてはアファディンの上流の調節因子として、またTJの形成においてはアファディンと協調して機能していると考えられた。このように、ネクチン-アファディン系はこれらの細胞極性因子と密接に関係しながら、細胞間接着だけでなく極性形成も制御していると考えられた。
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