2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接着分子ネクチン-アファディン系と細胞極性因子による細胞極性の形成機構
Project/Area Number |
19590276
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤田 直之 Kumamoto University, 大学院・医学薬学研究部, 准教授 (50403192)
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Keywords | 細胞間接着 / 細胞極性 / ネクチン / アファディン / Par-3 |
Research Abstract |
上皮細胞においてタイトジャンクション(TJ)はアドヘレンスジャンクション(AJ)のアピカル側に形成され、極性形成に重要な役割を担っている。TJでは主要な接着分子としてクロウディン、オクルーディン、JAMが機能している。AJではカドヘリンとネクチンが主要な接着分子である。まず、ネクチンが細胞-細胞接着を形成し、その部位にカドヘリンをリクルートしてAJを形成する。またネクチンはJAM、続いてクロウディン、オクルーディンをAJのアピカル側にリクルートし、TJの形成にも関わっている。AJとTJの存在しない線維芽細胞にJAMとクロウディンを共発現させると、それぞれ別の膜ドメインを形成し、共局在しなかった。一方、ネクチンとカドヘリンを共発現させると、それらは同一の膜ドメインを形成した。しかし、ネクチンを発現させるとJAMとクロウディンは共局在した。したがって、ネクチンはJAMとクロウディンによるTJの膜ドメインの形成に重要な役割を果たし、細胞極性の形成に関わっていると考えられる。また私は、ネクチンの細胞内ドメインに結合するアファディンがPDGF受容体によってSrcを介してチロシンリン酸化されることを見出している。リン酸化されたアファディンは、SHP-2と結合してその脱リン酸化活性を促進して、PDGF受容体を脱リン酸化し、Ras-ERKのシグナルを抑制した。このように、ネクチン-アファディン系は細胞内シグナル系と密接に関連しながら、細胞間接着を介して極性形成を制御していると考えられる。
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