2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590279
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
岸田 昭世 Kagoshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50274064)
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Keywords | Wnt / Dvl / グリオーマ細胞 / シナプス / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
Wntは分子量約4万の分泌蛋白質である。ヒトではWntは19種類のホモログからなるファミリーを形成しており、それぞれ異なった機能を担うと考えられている。たとえばノックアウトマウスの解析から、Wnt-3aは海馬や神経管の形成に、Wnt-4は腎臓形成に、Wnt-7aは小脳のシナプス形成に関わることが示唆されている。Wntのシグナルが細胞膜上の受容体Fz/LRP受容体複合体に結合するとそのシグナルは少なくとも3経路に分かれて、細胞内に伝達される。すなわち、β-カテニン経路、PCP経路、Ca経路である。β-カテニン経路では受容体からのシグナルが細胞内のDvlを介して、GSK3を抑制し、β-カテニンの安定化、転写因子TCFによる遺伝子発現促進を行う。PCP経路は細胞骨格に作用し、細胞運動や細胞の極性を制御する。Ca経路は細胞内のカルシウムを動員し、PKCやCamキナーゼを活性化する。 本年度は、昨年度見出した新規Dvl結合たんぱく質候補Hect型ユビキチンリガーゼの全長cDNAをクローニングして、動物細胞で発現ベクターを構築してDvlとの哺乳動物細胞内での分子間相互作用を解析したが、有意な複合体形成は認められなかった。そこで、シナプスを維持するグリアの作用に注目し、グリアから発生するグリオーマ細胞におけるWntの発現を解析したところ、Wnt-5aとWnt-11の優位な発現を認めた。現在この細胞におけるWnt-5aとWnt-11の生理的意義を解析している段階である。
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