2008 Fiscal Year Annual Research Report
生後の赤血球分化・増殖における転写因子GATA-1の機能解明
Project/Area Number |
19590286
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大根田 絹子 Takasaki University of Health and Welfare, 薬学部, 教授 (50323291)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石嶋 康史 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助教 (10433640)
大森 慎也 高崎健康福祉大学, 薬学部, 助手 (10509194)
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Keywords | 細胞分化 / 転写因子 / 遺伝子発現制御 / 赤血球 |
Research Abstract |
転写因子Gatalの生後の造血における役割を検証するため、条件付gatalノックアウトマウスと誘導的にCreリコンビナーゼを発現するマウスを交配し、成体マウス造血組織においてGatalを欠失させた。当初用いていたインターフェロン誘導剤plpCによりCreを誘導する系では造血組織における組み換え効率が十分ではなかったため、当該年度は4-ヒドロキシタモキシフェンによってCreを誘導する系に切り替えて解析を進めた。主な解析結果は次のとおりである。 1)4-ヒドロキシタモキシフェン投与後3週目、4週目の末梢血所見では、血小板数低下、進行性の貧血、高エリスロポエチン血症が観察された。 2)これらのマウスの骨髄と脾臓から採取した細胞のフローサイトメトリー解析ではCD71・Ter119を共に発現する好塩基性赤芽球に相当する分画が著しく減少していた。 3)これらのマウスの脾臓の組織所見では、白脾髄に較べて赤脾髄の領域が著しく減少し、脾臓切片の辺縁に薄く観察されたのみであった。 4)これらのマウスの骨髄細胞を用いたコロニーアッセイでは、BFU-E,CFU-Eとも低下していた。 5)これらのマウスにフェニルヒドラジンによる溶血性貧血を惹起しても野生型マウスで観察された代償的な赤血球造血の亢進は見られず、貧血は更に悪化した。 これらの結果から、Gatalを欠失させたことにより、赤血球系の造血が前駆細胞の段階から著しく障害されていると考えられた。したがって、Gatalは胎生期のみならず成体においても赤血球・巨核球分化に必須であることが示唆された。
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