2009 Fiscal Year Annual Research Report
核の無い赤血球の寿命はどのように定められているのか
Project/Area Number |
19590289
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
萬野 純恵 Tokyo Women's Medical University, 医学部, 講師 (10101205)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 雄一 東京女子医科大学, 医学部, 教授 (40113740)
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Keywords | 赤血球 / スペクトリン / 変形能(膜伸展性) / 糖化 / リボース / ペントシジン / 寿命 / ATP |
Research Abstract |
赤血球は日数を重ねるとともに変形能が低下し脾洞内皮細胞の間隙を通過できなくなり、マクロファージに貪食されることで寿命を全うする。本研究は、「核」をもたないことから「アポトーシス」は起こらない赤血球の寿命がほぼ正確に120日に定められている要因として、赤血球変形能の維持を担う膜骨格蛋白質スペクトリンの時間依存的、非可逆的な糖化修飾(AGE化;ペントシジン化)が赤血球寿命を定めているとの独自の仮説を検証した。昨年までに、1)AGE化はリボースの方がグルコースより速くかつ強く引き起されること、2)赤血球細胞においてはグルコースの共存で抑制されること、3)グルコースの共存の効果はNaFで解糖を阻止すると認められなくなること、4)そのメカニズムは、グルコースとの競合ではなく代謝が進行し細胞内ATP濃度を維持することが重要であること、5)スペクトリンのペントシジン化に伴い、赤血球膜の変形能は低下することを明らかにした。本年度はさらに、6)スペクトリン分子内架橋(Lys-Arg)部位の一つは第2リピートを含む断片内に分子内架橋部位が存在すること、7)この部位は膜のセリンリン脂質との結合ドメインであり、ペントシジン化リコンビナントペプチドはその結合性を失うこと、8)変異体ペプチドはセリンリン脂質と結合しないこと、9)MgATP濃度を維持したゴーストではスペクトリンのペントシジン化がおこらないこと等の結果を得た。以上のことから、赤血球は変形能の維持を担う膜骨格蛋白質スペクトリンをATP濃度を維持することによって糖化させない機構を備えており、それが破綻することによって寿命を全うするとの結論に至った。現在、これらの結果の報告準備中である。
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