2008 Fiscal Year Annual Research Report
血小板のコラーゲン受容体GPVIの活性構造と活性化機構の解析及びその阻害剤の探索
Project/Area Number |
19590292
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
諸井 将明 Kurume University, 分子生命科学研究所, 教授 (00049074)
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Keywords | 血小板 / コラーゲン / シグナル伝達 / 阻害剤 / 抗体 / コラーゲン受容体 / GPVI / 血栓症 |
Research Abstract |
血小板のコラーケンレセプターGPVIの特異的な阻害剤の探索及びそれを用いた反応機構の解析を目的として以下の研究を行った。 1. 特異的抗GPVI抗体の探索 コラーゲンとの結合はGPVIダイマーにのみ認められることからGPVIダイマーにコラーゲンとの結合に関与する構造が存在すると考え、GPVIダイマーと特異的に結合するFabをファージディスプレイ法によりスクリーニングした。得られたFabはコラーゲンとGPVIの結合を阻害し、コラーゲンによる血小板の活性化を阻害した。このことはGPVIがダイマーを形成することによりコラーゲンとの結合に重要な構造を形成することを示している。このFabが血小板と結合することから血小板上でGPVIはダイマーとして存在していることが示された。 2. 阻害ペプチドの探索 GPVIは特異的な血小板活性化機構を有する。特にGPVIと複合体を形成するFcRγ鎖のチロシンリン酸化が重要な寄与をしている。そこでこのFcRγ鎖のリン酸化配列を有する透過性ペプチドを作製し、その作用を解析した。このペプチドはコラーゲンを介した血小板の活性化を特異的に阻害し、特にチロシンキナーゼSykのリン酸化を阻害した。一方FcRγ鎖のリン酸化は阻害されず、Sykのリン酸化にはリン酸化されたγ鎖との結合が必要であることが示された。 3. GPVI活性部位の探索 GPVIと相同性の高いKIRとのキメラ分子を作製し、キメラ分子のコラーゲン及びコラーゲンモデルペプチドCRPとの結合活性を解析した。その結果GPVIの結合は主に第一免疫グロブリン様ドメイン(D1)に存在すると考えられた。D1の種々のアミノ酸に変異を加え、その活性を解析した結果、R38とE40およびR65が結合活性に強く関与していることが示され、これらの解離性アミノ酸残基がコラーゲンとの結合に強く関与していると考えられる。
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