2007 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素の分子病態:非受容体型チロシンキナーゼのレドックス依存活性化機構
Project/Area Number |
19590302
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浜口 道成 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90135351)
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Keywords | 一酸化窒素 / チロシンキナーゼ / シグナル伝達系 / レドックス / Srcキナーゼ / 細胞運動 |
Research Abstract |
本研究は、一酸化窒素の持つ多彩な機能を、我々の発見したレドックス依存c-Srcキナーゼの活性化とその下流シグナルの解析により明らかにしようとするものである。c-Srcを代表とするSrcファミリーキナーゼは、非受容体型チロシンキナーゼであり、免疫応答や神経機能に深く係るとともに、ひと乳癌や転移性大腸癌で活性化が報告され、その活性制御の解明は重要な意義を持っている。我々は、SrcキナーゼC末に集積するシステイン残基のモチーフ(Cysteine Cluster motif=CCモチーフと命名)に注目し、その機能を解析した結果、このCCモチーフが、Y527のリン酸化とは独立した活性制御機能を持つ事を見いだし、がん遺伝子産物v-Srcの癌化能に決定的な機能を担う事を明らかにした。更に我々は、NOや塩化第2水銀等がc-Srcキナーゼの劇的な活性をもたらす事を報告しているが、予備実験によりこのレドックス依存活性化にCCモチーフが関与する事を示唆する結果を得た。また、c-Srcの活性化されたヒト乳癌細胞で、NO合成酵素NOS3がc-Srcによりチロシンリン酸化を受けている事を報告した。本研究は、これら申請者独自の発見に基づき、従来の定説を一新するSrcキナーゼの新しい活性制御機構を明らかにする.更に、NOによる細胞運動やMMP産生の制御機構を、CCモチーフを介するc-Srcキナーゼの活性制御の視点から明らかにする事を目的とする。本年は、SrcファミリーキナーゼのYes、Lynの持つCCモチーフの機能に注目し、実験を行った。その結果、Src同様Yes、Lynのキナーゼ活性制御にも、CCモチーフが重要な役割を担うことが明らかになった。
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