2008 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素の分子病態:非受容体型チロシンキナーゼのレドックス依存活性化機構
Project/Area Number |
19590302
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浜口 道成 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (90135351)
|
Keywords | 一酸化窒素 / チロシンキナーゼ / Src / レドックス / シグナル伝達 |
Research Abstract |
一酸化窒素(NO)は様々な蛋白のシステインをニトロソ化し、その活性を制御することで多くの生理的役割を担っている。チロシンキナーゼも生体内で多くの役割を担っているが、NOによるチロシンキナーゼの制御についてはいまだ報告が少ない。我々は以前にSrcがNOにより活性化されることを報告しており、そのメカニズムや生理的役割について検討した。SrcのNOによる活性には、498番目のシステインが重要な役割を担っており、このシステインがニトロソ化されることで、Srcは活性化されていた。このシステインはSrcファミリーキナーゼで保存されており、Yes,Lynなどのキナーゼもこのシステインのニトロソ化により活性化していた。498番目のシステインをアラニンに変えたSrcを発現する細胞では、NOによる細胞運動の亢進やFAKのリン酸化が観察されなかった。これらの結果は、多くのチロシンキナーゼが498番目にあたる保存されたシステインを介して、NOにより活性化されることを示唆する。 乳癌由来のMCF7細胞はエストロゲンの刺激により、Src、FAKなどのチロシンキナーゼが活性化し細胞の形態変化や浸潤の亢進が観察される。エストロゲンによりMCF7細胞内のNOの産生が亢進するが、このNOの産生がSrc,FAKの活性化に重要であった。エストロゲンはNOによるSrc,FAKの活性化を介して細胞の形態変化、浸潤を制御している可能性が示唆された。
|
-
-
-
[Journal Article] The cysteine-cluster motif of c-Yes, Lyn and FAK as a suppressive module for the kinases.2008
Author(s)
Rahman MA, Senga T, Oo ML, Hasegawa H, Biswas MH, Mon NN, Huang P, Ito S, Yamamoto T, Hamaguchi M.
-
Journal Title
Oncology Reports 19
Pages: 975-980
Peer Reviewed
-