2008 Fiscal Year Annual Research Report
粘膜上皮の重炭酸イオン・炭酸ガス輸送の障害による疾病の分子病態と治療法の研究
Project/Area Number |
19590303
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 孝晴 Nagoya University, 総合保健体育科学センター, 教授 (20135388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石黒 洋 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (90303651)
山本 明子 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 助教 (60402385)
洪 繁 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (90402578)
久米 裕昭 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (50303631)
|
Keywords | 膵導管細胞 / CFTR / 単離小葉間膵管 / 細胞内pH / 膜電位 / HCO_3^-透過性 / HCO_3^-チャネル / 膵外分泌 |
Research Abstract |
膵液中のHCO_3^-は導管細胞から分泌され、管腔膜に発現するcystic fibrosis transmembrane conductance regulator(CFTR)陰イオンチャネルに依存する。しかし、CFTRのHCO_3^-透過性はC1^-に比べて低いため、膵HCO_3^-分泌におけるCFTRの役割は不明であった。本年度は、HCO_3^-分泌機能の高いモルモットの膵臓から単離した小葉間膵管(径100〜150μm)の管腔をmicroperfusionして細胞内pHを測定し、人為的な電位変化による引き起こされる管腔膜を介するHCO_3^-輸送速度を測定した。実験は、管腔を高HCO_3^-溶液(125 mM)で灌流し、基底側膜を介するHCO_3^-輸送をH_2DIDSを用いて抑制した条件で行った。表層灌流液のK^+濃度を5 mMから70 mMに上げて脱分極させると細胞内pHは上昇(HCO_3^- influx)し、K^+濃度を1 mMに下げて過分極させると細胞内pHは低下(HCO_3^- efflux)した。電位変化によるHCO_3^- fluxは、C1^-とNa^+に依存せず、管腔灌流液にCFTR阻害剤CFTRinh-172を加えると抑制された。管腔膜のCFTRがHCO_3^-チャネルとして機能することを示唆している。細胞内pHとその変化速度、膜電位、細胞内buffering capacityから、管腔膜のHCO_3^-透過性を算出したところ、約0.1μm sec^<-1>であった。nativeな上皮膜のHCO_3^-透過性の絶対値を測定した初めての報告であろうと思われる。この算出されたHCO_3^-透過性は、モルモット膵導管細胞のHCO_3^-分泌に必要な理論値(0.25μm sec^<-1>)に近かった。ヒトやモルモットの膵液は140 mMに達する高濃度のHCO_3^-を含む。このような条件下の膵導管細胞では、管腔膜のCFTRがHCO_3^-チャネルとして機能することがわかった。
|
Research Products
(5 results)