2007 Fiscal Year Annual Research Report
0結合型Nアセチルグルコサミン(0型糖鎖)による心筋小胞体タンパク質の制御機構
Project/Area Number |
19590306
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
朝日 通雄 Osaka University, 医学系研究科, 助教 (10397614)
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Keywords | タンパク質 / 心筋小胞体 / 糖鎖 / ストレス |
Research Abstract |
近年、O-GlcNAcという糖鎖が、セリン、スレオニンキナーゼのリン酸化部位に競合して、さまざまなタンパク質を修飾することから、細胞内シグナル伝達に重要な役割を演じていることが報告されている。心臓の機能は、様々なタンパク質のリン酸化で制御されているので、そのリン酸化にO-GlcNAcが影響しているとすると、O-GlcNAcが心機能の新たな調節因子ということも考えられる。本研究はO-GlcNAcによるカルシウムシグナルタンパク質の制御およびその心機能への影響を検討する目的で行っているが、心機能の制御に中心的役割を演じている筋小胞体タンパク質の一つであるホスホランバンがO-GlcNAcによる修飾を受けること、またその修飾がリン酸化を抑制していることを証明した。さらに、ホスホランバンのリン酸化の抑制あるいはO-GlcNAc化そのものにより、心機能が低下している可能性が示唆された。今後はさらにその関連性について検討する予定である。 また、O-GlcNAcが低酸素などERストレスによる細胞死(アポトーシス)シグナルに与える影響についても、脂肪前駆細胞である3T3-L1細胞を用いて検討し、O-GlcNAc試薬の前処理の有無により、ERストレスの刺激に対するIRE-1,eIF-2α,ATF6などのシグナル分子がどのように影響を受けるかを現在検討中である。 O-GlcNAcという糖鎖は、糖尿病、アルツハイマー病などの病態で増加し、それらの病態と深く結びついていると考えられるが、その分子メカニズムはよくわかっていない。本研究は、その分子メカニズムを解明しそれらの治療の基礎研究という点で、重要性があり意義があるものと考えられる。
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