2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヌクリングの関与する癌及び神経変性疾患発症機構の解明
Project/Area Number |
19590310
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂井 隆志 The University of Tokushima, 疾患酵素学研究センター, 准教授 (80284321)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福井 清 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 教授 (00175564)
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Keywords | 癌 / シグナル伝達 / 発現制御 / 脳神経疾患 / 遣伝子 |
Research Abstract |
ヌクリングノックアウト(KO)マウスの老齢雄個体に頻発する肝炎併発肝ガンの自然発症機構の解明を目指し、研究実施計画に則り以下の実験を行った。 (1)発ガンの最初のステップと予想されるNF-κB活性化にヌクリングがどのように関わっているかを検討した。我々はヌクリングKOマウス由来の胚性線維芽細胞(MEF)や肝組織においてNF-κBが恒常的に活性化していることを見いだしていたが、ヌクリング自体にこのNF-κB活性化を制御する働きがあるかどうかを検討した。HEK293細胞にヌクリングを強制発現させ、NF-kBの活性化をウェスターンブロット、ルシフェラーゼアッセイ、蛍光抗体染色等で検討した結果、ヌクリング自体にNF-κB活性を抑える働きがあることを確認できた。(2)ヌクリングKOマウスの肝在住マクロファージ(クッパー細胞、以下KCと表記)が著減している原因の解明を試みた。NK/NKT細胞はNF-κBの活性化によりFasLの発現が誘導されることが報告されている。検証の結果、マウス肝臓におけるNK/NKT細胞のほとんどがFasLを、KCのんほとどがFasを発現していることが確認された。またNK/NKT特異的抗体によりNK/NKTを除くことにより、同時にKCが除かれることを確認した。このことからヌクリングKOマウスではNF-κBの活性化によりFas/FasL系が活性化されKCがアポトーシスで減少することが強く疑われた。以上の結果はヌクリングがNF-κBの活性化を制御する重要な分子であることを示唆しており、またこの制御機構の破綻が肝炎併発肝ガン発症機序の一因となりうることを明らかにした初めての研究成果と考えられる。以上の結果をまとめ、現在投稿中である。
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Research Products
(5 results)