2007 Fiscal Year Annual Research Report
上皮一間葉変換を誘導する転写因子スネイルによる細胞骨格変化と転移の制御機構
Project/Area Number |
19590313
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
原口 みさ子 Kagoshima University, 大学院・医歯学総合研究科, 准教授 (10244229)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 政之 鹿児島大学, 大学院・歯学総合研究科, 教授 (90136854)
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Keywords | スネイル / インテグリン / ラミニン / オステオポンチン |
Research Abstract |
発生の初期には胚は上皮細胞のみから構成されてシートを形成しているが、上皮細胞は上皮-間充織転換を経て移動能をもつ間葉細胞に変わり体中を移動する。そして目的の場所に到達するとそこで細胞が増殖し種々の器官を形成するようになる。スネイル(snail)はジンクフィンガー型の転写抑制因子であり、この上皮-間葉変換を誘導する機能をもつ。snailは細胞-細胞間の接着因子であるE-カドヘリンの転写を抑制することにより癌の進行、転移に寄与していると報告されてきた。我々はsnailがアクチンをはじめとする細胞骨格タンパクや細胞外基質、インテグリンの発現調節作用を介して転移を制御するのではないかと考え解析を行った。まずスネイルを発現させた細胞では細胞の基質からの脱離が亢進していることを見い出した。またMDCKなどの上皮細胞は非常に強く基質と結合しトリプシン処理しても剥離しにくいことが知られているが、スネイルを発現させると顕著に脱離しやすくなった。これはトランスウエルを用いて確認しており、細胞間接着因子Eカドヘリンの発現低下によるためではない。一方ある種の基質に対する接着は亢進しており、これはRGDペプチドで阻害された。細胞外マトリックスタンパクであるラミニン5やその受容体であるインテグリンα3、6、β4の発現が低下している一方、フィブロネクチン、ビメンチンやインテグリンインテグリンα5、αVの発現は上昇していた。さらにインテグリンαVβ3の骨に存在するリガンドであるオステオポンチンへの遊走は亢進していた。スネイルは細胞外基質、インテグリンの発現調節作用を介して、細胞の接着、脱離、遊走を制御していると考えられる。
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Research Products
(1 results)