2007 Fiscal Year Annual Research Report
MAPKシグナル依存性MITF活性化機構の悪性黒色腫の病態における意義の解明
Project/Area Number |
19590321
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
住本 秀敏 Keio University, 医学部, 助教 (00306838)
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Keywords | 悪性黒色腫 / MITF / BRAF / MAPK / RNAi / DNAマイクロアレイ / 分子標的 / HIVベクター |
Research Abstract |
MITFをノックダウンするshort hairpin RNA(shRNA)発現HIVレンチウイルスベクターを作成し、8種類のヒト悪性黒色腫細胞株に感染実験を行った。MITF RNAiは、全ての株で有意に細胞増殖を抑制し、1株でアポトーシスを誘導した。また、2種類の株で有意にマトリゲル浸潤能力を抑制した。これらの結果は、MITFが悪性黒色腫の種々の悪性形質に関連する癌遺伝子として機能していることを支持しており、分子標的として有意義であると言える。 活性型BRAF変異(BRAF^<V600E>)を持つ悪性黒色腫において、BRAF^<V600E>特異的RNAiは、有意に細胞増殖を抑制するが(Sumimoto, et. al.,Oncogene 23:6031-9,2004)、BRAF^<V600E>とMITFを同時に抑制するshRNA HIVベクターを作製し、各単独抑制群と細胞増殖抑制効果を比較したところ、4種類の悪性黒色腫細胞株で単独抑制と比較して有意に細胞増殖抑制効果を増強した。単独では増殖抑制効果が弱い細胞株でも強力な増殖抑制効果を誘導できたことから、両者を同時に抑制する治療法の有用性が示唆された。 上記で検討した8種類の悪性黒色腫細胞株に対して、コントロールshRNA,MITF shRNA,BRAF^<V600E>shRNAの三種類のHIVベクターを感染後、total RNAを抽出してDNAマイクロアレイ解析を施行した。コントロールvs MITF RNAi((1)),コントロールvs BRAF^<V600E> RNAi((2))間で発現プロフィールを比較し、各細胞株でコントロールよりも1.5 or 2倍以上発現変動を示した遺伝子を抽出して、それぞれMITF依存性発現、BRAF-MAPK依存性発現を示す遺伝子群を同定した。さらに、MITFおよびBRAF^<V600E> RNAiにより共通に変動した遺伝子((3))を抽出して、BRAF-MAPKシグナルとMITFのシグナルクロストーク依存性に発現制御を受ける遺伝子の候補を得た。また、8種類の細胞株でクラスター解析を施行して、各クラスターで共通に変動した遺伝子群を同定した。変動した遺伝子を機能別に見ると、あるクラスターで共通に発現低下した168種類の遺伝子には、リン酸代謝関連遺伝子、免疫応答関連遺伝子、細胞接着・細胞間コミュニケーション関連遺伝子、シグナル伝達分子などを認めており、腫瘍形成における腫瘍細胞一間質・免疫細胞間の相互作用の重要性を示唆していると考えられた。
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Research Products
(3 results)