2008 Fiscal Year Annual Research Report
22q11欠失の断端に存在するnon-B型DNA構造
Project/Area Number |
19590322
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
大江 瑞恵 Fujita Health University, 総合医科学研究所, 助教 (10247661)
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Keywords | 染色体欠失 / 重複配列 / 高次構造 / ゲノム / 酵母モデル |
Research Abstract |
染色体の微小欠失や重複により発症する疾患はゲノム病とよばれ、特異的重複配列間の非アレル間相同組換えにより引き起こされると考えられている。本研究では、その初期段階を誘発するメカニズムを解明するために、ゲノム病で最も頻度の高い22q11欠失症候群に注目して、欠失を誘発するゲノム配列の存在を明らかにする研究をおこなった。昨年度の研究では、22q11染色体領域のnon-B型を形成する特定の配列は染色体欠失を引き起こしやすいことを、酵母モデルを作製して示した。本年度の研究ではまず、この同定した配列と他のゲノム病の配列などと欠失の誘発頻度を比較するために、Sotos症候群、神経線維腫症1型のホットスポットあるいは慢性骨髄性白血病の転座切断点の配列をもつ酵母モデルを作製した。その結果、これらの配列の一部はコントロール領域よりも欠失は起こりやすかったが、22q11上の同定した配列はさらに欠失頻度が高かった。これは罹患率の関係と一致する。さらに、欠失のメカニズムを明らかにするために、複製阻害剤やPOL1遺伝子の変異体を作製して解析をしたところ、同定した配列で欠失頻度の増加をみとめた。そして実際、類似の配列がヒトの染色体上で微細な欠失を引き起こしている。これらの結果より、22q11に存在するnon-B型を形成する特定の配列は、複製の遅延が生じた時に不安定になり、欠失を生じることが考えられた。以上の研究成果を、現在論文として投稿準備中である。
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