2007 Fiscal Year Annual Research Report
Ephrin-B1の信号経路遮断による癌の組織浸潤の抑制
Project/Area Number |
19590326
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Research Institution | National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East |
Principal Investigator |
田中 正光 National Cancer Center Research Institute and Research Center for Innovative Oncology, National Cancer Center Hospital East, 細胞増殖因子研究部, 室長 (20291396)
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Keywords | ephrin / Eph / スキルス癌 / シグナル伝達 / 治療 |
Research Abstract |
癌のなかでもスキルス型癌は間質組織への浸潤性がきわめて高く、隣接した臓器、組織に播種する特徴を持ち、難治性である。本申請の目的は、腹膜播種をきたす主に消化器由来のスキルス型癌で、その浸潤能と相関して活性化されているephrin-B1の信号経路を遮断することにより、あるタイプのスキルス型癌の治療に応用することである。これまでの実験経緯をふまえて、ephrin-B1のリン酸化を介した信号経路と、C末を介した信号経路を個別に遮断するツールを作製し、その効果をこれまでに行ったヌードマウスの腹膜播種のアッセイを主に用いて判定しようと試みている。これまでに、ephrin-B1のリン酸化部位やC末部位の配列に標的蛋白質が結合することを阻害するようにデザインしたペプチドを細胞膜透過シグナルに連結して合成した。そのうち培養細胞のレベルでは、細胞膜透過シグナルを付加したephrin-B1のC末ペプチドにより、スキルス癌細胞のin vitroでの浸潤が阻害されることが確認できたため、次に癌細胞のマウス個体における浸潤の抑制がどの程度みられるかを比較評価中である。このことにより、同ペプチドの構造と類似した化合物をスクリーニングするなどして、実際の治療に供することが可能になると考えている。 一方、それらの信号遮断ツールが作用する分子メカニズムの全体像をより明確にし、またこれまでの知見からは予測できない他の蛋白質への作用を把握するため、ephrin-B1のさらなるシグナル分子の同定と標的分子の探索を継続して行った。その結果、癌細胞においてephrin-B1を内在性に発現している蛋白質から、チロシンリン酸化したephrin-B1に結合する蛋白質を新規に同定できた。それがどういった生物学的作用をひきおこすか、腫瘍抑制を目的とするうえでどう関わるかを解析中である。
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Research Products
(4 results)