2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590328
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
後藤 英仁 Aichi Cancer Center Research Institute, 発がん制御研究部, 室長 (20393126)
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Keywords | サイクリン依存性キナーゼ / チェックポイント / Chk1 / 細胞周期 / ATR |
Research Abstract |
Chk1は、DNA障害/複製チェックポイントの際にATRによってそのセリン317およびセリン345がリン酸化され、活性化することが知られている。我々は、このChk1が分裂期においてCdk1によってリン酸化されること、そのリン酸化部位がセリン286およびセリン301であることを報告した。今年度、我々は、このセリン286およびセリン301のリン酸化反応が、分裂期だけでなく、紫外線照射におけるDNA障害時やヒドロキシウレアによるDNA複製障害時にも引き起こされることを見出した。この際のセリン286/セリン301のリン酸化反応はCdk阻害剤によって抑制されること、および、in vitroにおいてサイクリンA/Cdk2はChk1のセリン286/セリン301をリン酸化しうることなどから、チェックポイント反応時のChk1のセリン286およびセリン301はCdk2によって制御されている可能性が高いことが判明した。興味深いこと、Cdk2とATRによるChk1のリン酸化反応は同一分子上に引き起こされるにも関わらず、これら2つのグループのリン酸化反応の間に依存性はほとんど認められなかった。以上の結果は、DNA障害/複製チェックポイントのChk1の機能制御は当初考えられていたものより複雑で、少なくとも活性化に必要なATRからのみならず、Cdkによっても制御されていることを意味している。分裂期における検討から、CdkによるChk1のジン酸化反応は、ATRとは異なりChk1を核外に移行させることによってChk1の機能を負に制御している可能性が高いと考えられる。しかしながら、チェックポイント反応時におけるCdkのリン酸化反応の生理的意義については未だ不明な点が多く、がんにおけるリン酸化反応の異常の解析も含め、今後の検討課題といえる。
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