2007 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞核内因子(HNF-4α)の生物学的解析と病理応用
Project/Area Number |
19590341
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
梅津 哉 Niigata University, 医歯学総合病院, 准教授 (50251799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内藤 眞 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30045786)
長谷川 剛 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90251800)
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Keywords | 核内受容体 / HNF-4α / 胃癌 / 大腸癌 / 個体発生 / 粘液関連遺伝子 |
Research Abstract |
核内受容体の一つであるHNF-4α(hepatocyte nucler factor-4α)の異なったアイソフォームを認識し、免疫染色可能な抗体を用いてヒト組織を解析した。今年度は個体発生におけるHNF-4αの発現と消化管粘膜およびその腫瘍におけるHNF-4αの発現と粘液形質および粘液関連遺伝子発現の検討を行った。 ヒトの個体発生ではHNF-4αは胎生早期の卵黄嚢、肝臓、膵臓、消化管、腎に発現し、しかも、P1 promoter由来のアイソフォームHNF-4α(P1)とP2 promoter由来のアイソフォームHNF-4α(P2)の発現は臓器によって異なり、また胎生時期によって変化する臓器もあることが明らかにされた。これは免疫染色とRT-PCRおよびwestern blotでも確認された。 胃、および腸管粘膜上皮と胃癌、大腸癌についてHNF-4αのそれぞれのアイソフォームの発現および粘液形質遺伝子MUC2、CD10、MUC5ACの発現とを比較した。正常の胃はHNF-4α(P2)が発現し、腸にはHNF-4α(P1/P2)が発現した。腸上皮化生胃粘膜上皮にはHNF-4α(P1/P2)が発現した。HNF-4αと粘液形質の比較から、胃癌には胃型と腸型があることが判明した。大腸癌の検討では、HNF-4α(P1)の発現が消失すると肝転移を起こしやすくなることを見出した(Oshima, et al. Pathol Int 57: 82-90, 2007)。なお、卵巣と肺は正常ではHNF-4αを発現しないが、粘液産生性卵巣癌と肺癌にはHNF-4αが発現することを観察した。これら腫瘍については次年度詳細な検討を加える。
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