2008 Fiscal Year Annual Research Report
固形癌におけるMycの増幅、特に受容体型チロシンキナーゼ遺伝子との同時増幅の解析
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19590342
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大井 章史 Kanazawa University, 医学系, 教授 (50160411)
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Keywords | MYC / 遺伝子増幅 / FISH / 乳癌 / ERBB2 / ウェスタンブロット / 蛋白過剰発現 |
Research Abstract |
90例の浸潤性乳管癌組織から得た捺印細胞を用いて2色flourecence in situ hybridization (FISH)を行い,個々の乳癌細胞についてMYC遺伝子とセントロメア8のシグナル比(増幅比)をもとめた。増幅比1.3をcut-off値とすると90例中31例(31.3%)がMYC増幅陽性であった。その内訳は増幅比5.0以上は3例、2.0-5.0が7例、1.3-2.0が21例で、コピー数を見ると、31例のうち15例(48.3%)では、1個もしくは2個過剰のMYCシグナルがみられる軽度遺伝子増幅であった。90例中34例では、MYC遺伝子が3から9個で、同数のセントロメア8が認められポリソミー8と考えられた。残り25例では数的異常は認められなかった。 36症例の乳癌組織から蛋白質を抽出し、ウェスタンブロット(WB)を行いMYC蛋白質に一致する67Kdのバンドとb-アクチンのバンド(42Kd)との比(発現比)を求めた。発現比3.6が最高値で、2例が2.0-3.0,9例が1.0-2.0,1.0未満が15例であった。MYC増幅群、polysomy8群、数的異常無しの群を比較するとMYC増幅群では優位にER,PgR陰性率が高く、Nottingham gradeが高かった。MYC増幅群では数的異常無しの群に比べてWBでみたMYCの過剰発現の率が高い傾向にあったが統計学的に有意ではなかった(p=0.055) 19例でERBB2の遺伝子増幅が見られた。また、MYCとERBB2の同時遺伝子増幅を示したものは10例で、MYC増幅群では数的異常無しの群に比べて有意にERBB2の増幅率が高かった(p=0.028)。捺印細胞を用いて2色FISHを行い、今回はじめて単一細胞内に両遺伝子の同時増幅が認められたが、同じアンプリコン上での増幅を示す所見は得られなかった。
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Research Products
(1 results)