2008 Fiscal Year Annual Research Report
EBV関連リンパ増殖異常症の新分類画定を目指した臨床病理学的、生物学的研究
Project/Area Number |
19590344
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 栄男 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 教授 (80180363)
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Keywords | 病理学 / 癌 / 加齢 / 免疫機能異常 / EBV / 悪性リンパ腫 |
Research Abstract |
加齢性EBV関連B細胞リンパ増殖異常症は、本邦より我々が2003年に世界に初めて発信した疾患概念である。世界に類例なき急速な高齢化に向かいつつある本邦において、初めて認識が可能であった疾患である。平成20年度中に加齢性EBV関連B細胞リンパ増殖異常症120症例の解析により、それらが70〜80歳に発症のピークを有することを明らかにした。また、EBV陰性びまん性B大細胞リンパ腫(DLBCL)1800例との比較検討により、それらの中でEBV+腫瘍が占める相対頻度は50歳以降90歳代に至るまで直線的に増加することを明らかにした。特に90歳代のDLBCL患者の30%がEBV関連であった。さらにホジキンリンパ腫(HL)300例余との比較検討を進め、同疾患とは異なる独立した予後不良の疾患単位であることを明らかにした(Blood 2009)。これらの結果に基づき、加齢性EBV関連B細胞リンパ増殖異常症は2008年9月に新たに公刊されたWHO分類第4版に正式な項目として掲載された。WHO分類は、腫瘍分類・診断の世界標準である。本疾患の同正式掲載を契機として以降、欧米でもEBV関連リンパ増殖異常症における加齢に伴う免疫機能の低下の関与とその臨床病理学的重要性が急速に指摘されつつある。これらEBV関連リンパ増殖症の免疫監視機構の解明を含む体系的理解、新分類の画定、さらに新たな治療法、予防法の開発が期待される。特筆される実績としては、2008年9月8日、アメリカ合衆国NIHにおいて、同疾患理解のための国際シンポジウムが持たれ、招聘講演を行ったことがあげられる。
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Research Products
(28 results)