2007 Fiscal Year Annual Research Report
進行癌に進展しやすい分化型早期胃癌に特徴的なゲノム構成の解明
Project/Area Number |
19590345
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
杉原 洋行 Shiga University of Medical Science, 医学部, 准教授 (30171169)
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Keywords | 胃癌 / 分化型早期胃癌 / CGH / 系譜解析 / 癌進展 / p53 / LOH |
Research Abstract |
これまで,comparative genomic hybridization(CGH)を用いて胃癌の系譜解析を行ってきた。その結果,低分化腺癌(POR)で腺管成分(TC)を含むものは,その2/3が腺管腺癌(TUB)に由来し,残りの1/3と腺管成分を含まないものが印環細胞癌(SIG)に由来すること,粘膜内に限局したTUBでは8q-と17p+が見られたのに対して,TCを含むPORでは8q+と17p-が見られ,両者は染色体上の系譜が異なることを報告してきた。TCを含むPORに進展しうるTUBのゲノム構成を明らかにするために,今年度は,(TCを含むPORで高頻度に野生型の不活化を認める)TP53の存在する17pに焦点をあて,免疫染色でp53の過剰発現の見られたTUBを用いて,17pのコピー数の変化をCGHとアレイCGHで検出した。分化型早期胃癌49例中26例にdiffuseパタンを示すp53の過剰発現が見られた。そのうち2例の粘膜内癌と1例の粘膜下浸潤癌でレーザmicrodissectionによる腫瘍内の複数サンプリングを行い,DNAを抽出,精製後,CGHおよびアレイCGHを行った。その結果,粘膜内癌の2例ではCGHで17pのgain,アレイCGHでTP53のコピー数増加を認めた。一方,粘膜下浸潤癌の粘膜部では17pのlossがみられた。粘膜下部分では,17pのlossは見られなかったが,アレイCGHによるTP53のコピー数とともに,microsatellite解析による17pl3のヘテロ接合性の喪失の有無を,現在検討中である。次年度は進行癌へ解析範囲を広げる予定である。
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