2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルファ平滑筋アクチン発現抑制線維芽細胞を用いた癌細胞間質細胞相互作用モデル
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19590351
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中山 宏文 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50253068)
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Keywords | アルファ平滑筋アクチン / 線維芽細胞 / 筋線維芽細胞 / CD34 / 胃癌 / 大腸癌 / 組織型 / 発現抑制 |
Research Abstract |
ヒト消化管癌における被膜形成傾向を検討するため、胃癌および大腸癌腫瘍辺縁部における活性化した線維芽細胞様細胞の実際の分布を、CD34を静止期線維芽細胞、アルファ平滑筋アクチンを活性化線維芽細胞(筋線維芽細胞)マーカーとして、免疫組織化学的に検討し、アルファ平滑筋アクチン発現抑制線維芽細胞株を試みた。 (1)胃癌においては、充実型のうち、粘膜固有層から粘膜下組織に限局する症例および粘膜固有層から漿膜下組織まで浸潤する合計6病変では、浸潤先端部に被膜様の筋線維芽細胞束がみられた。腸型(管状腺癌および乳頭状腺癌)では粘膜下組織までに限局する21病変中3病変(14%)、漿膜下組織に達する14病変中11病変(77%)で浸潤先端部に被膜様の筋線維芽細胞束がみられたが、固有筋層までに限局する8病変では浸潤先端部に被膜様の筋線維芽細胞束は認められなかった。一方、びまん型35病変(低分化腺癌非充実型)ではいずれの病変にも被膜様の筋線維芽細胞束はみられなかった。 (2)大腸高分化腺癌では、粘膜下組織までに限局する23病変中18病変(78%)、漿膜下組織に達する23病変中19病変(83%)で浸潤先端部に被膜様の筋線維芽細胞束がみられたが、固有筋層までに限局する36病変中13病変(36%)にのみ先端部に被膜様の筋線維芽細胞束が認められた。一方、低分化腺癌では、充実型15病変では、全病変いずれにも浸潤先端に被膜様の筋線維芽細胞束はみられ、非充実型2病変では、いずれにも認められなかった。 (3)アルファ平滑筋アクチン発現抑制線維芽細胞株は現在のところ樹立できていない。以上のごとく、癌組織型および臓器によって被膜の形成傾向が明らかに異なることが明らかにされた。 このような結果を踏まえ最終年度となる来年は、アルファ平滑筋アクチン発現抑制線維芽細胞株の樹立、種々の分化度の胃癌および大腸癌培養細胞株と共培養およびヌードマウスへの移植実験を進めたい。
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Research Products
(1 results)