2007 Fiscal Year Annual Research Report
血管・リンパ管新生過程における細胞相互シグナルとその修飾機構の分子病理学的解明
Project/Area Number |
19590352
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 和憲 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 医員 (10380429)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00380626)
|
Keywords | 動脈硬化 / 内皮細胞 / VEGF / 川崎病 / 脈管新生 / シグナル伝達 / シェディング |
Research Abstract |
脈管(血管・リンパ管)新生での細胞間相互の情報伝達機構、細胞の機能変化、さらに脈管新生を基盤とする病態(血管新生病など)の解明と治療法の開発は極めて重要かつ緊急課題である。本研究では、血管病変進展における脈管新生関連因子のシグナルの意義を検討した。まずSNP解析により脳梗塞関連遺伝子として既に明らかにしている(PKCη、apelin/APJ)について、VEGFとの関連を検討した結果、HUVECにおけるVEGF刺激はPKCη、apelinの発現を誘導した。VEGF刺激によるPKCη発現誘導は、アクチノマイシンDで解消されるため、mRNAの分解抑制ではなく転写亢進と考えられる。この作用はVEGF受容体2を介しており、PMA刺激にて誘導が再現されることから、VEGF受容体下流でPKC経路の関与が推測された。また低酸素環境での内皮細胞のPKCη発現は、HIF-1の直接的作用というよりは、VEGFによる間接的作用によることが示唆され、脳梗塞関連遺伝子の発現制御に、VEGFが中心的役割を果たしていることが明らかになった。さらにCAWS誘発マウス冠動脈炎(川崎病動物モデル)において抗VEGF-A、TNFα抗体が病変を軽減したことから、VEGF-Aは川崎病の病態のキーレギュレーターであり、治療標的としての有効性を明らかにした。一方、血管・リンパ管療法の成熟過程に重要なAng-1/Tie-2シグナルについて、血管内皮/平滑筋細胞相互作用にTie-2の産生にAKTシグナルとMAPKシグナルの相反作用が、さらに炎症性刺激などに応じたADAM、TIMP-2/3の活性バランスのもと細胞表面のTie-2シェディングが調節され、生じた可溶型分子が内皮のAng-1シグナルを修飾する事が判明した。
|
Research Products
(11 results)