2008 Fiscal Year Annual Research Report
血管・リンパ管新生過程における細胞相互シグナルとその修飾機構の分子病理学的解明
Project/Area Number |
19590352
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中川 和憲 Kyushu University, 大学院・医学研究院, 講師 (50217668)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
居石 克夫 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (70108710)
古賀 孝臣 九州大学, 大学病院, 講師 (70380615)
岡野 慎士 九州大学, 大学病院, 臨床助教 (10380429)
鬼丸 満穂 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (00380626)
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Keywords | 動脈硬化 / 内皮細胞 / VEGF / 川崎病 / 脈管新生 / シグナル伝達 / シェディング / ポドプラニン |
Research Abstract |
脈管(血管・リンパ管)新生過程での細胞問相互の情報伝達機構の解明と、血管壁細胞やリンパ管内皮細胞の機能変化、さらにそれを基盤とする分子病態の解明と治療法の開発は極めて重要かつ緊急課題である。本研究では、脈管(血管・リンパ管)新生関連因子による細胞問相互作用に注目し、特に内皮細胞機能変化および周皮細胞との相互作用動態がもっ病理学的意義を検討した。主な成果は以下の通りである。 (1)ヘムオキシゲナーゼ(HO)-1が冠動脈硬化の防御・促進両面の因子である可能性を示唆した。 (2)血管新生阻害因子PEDFは、神経細胞ではAIF活性化を抑制して抗アポトーシス作用を発揮することを明らかにし、網膜色素変性治療の医学的根拠を実証した。 (3)実験的川崎病モデル(CAWS誘発マウス冠動脈炎動物モデル)にて、VEGF-Aが、TNFαと同様に炎症増悪の病態の鍵を握る制御因子であり、治療標的としての有効性を実証した。 (4)マウス虚血下肢モデルにおける下肢脱落救済にVEGFを介したPIGF発現の増1幅が重要なこと、また糖尿病下肢ではスタチン投与による内皮細胞保護が、PDGF-Bシグナルとは独立して血流改善に補完的かつ有効に機能することを明らかにした。 (5)周皮細胞を伴う血管構造維持に内皮細胞におけるAKTシグナルとMAPKシグナルの相反バランスで調節されている事を解明した。加えて、内皮-周皮細胞間の情報伝達に重要なTie-2/Angシグナルが、発現制御のみならず、ADAMやTIMP-2/3の受容体分解制御機構によっても行われていることを示した。 (6)リンパ管内皮マーカーであるポドプラニンの肺扁平上皮癌における発現の有無が、リンパ管新生因子VEGF-C発現の変化を招来し、リンパ節転移に関与することを臨床および分子細胞生物学的に証明した。
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Research Products
(11 results)