2008 Fiscal Year Annual Research Report
消化管癌の間質浸潤と脈管侵襲との遷移領域における分子病理学的解析
Project/Area Number |
19590368
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
石川 由起雄 Toho University, 医学部, 准教授 (30276894)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 壽晴 東邦大学, 医学部, 教授 (30101893)
伊藤 金次 東邦大学, 医学部, 准教授 (40057758)
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Keywords | リンパ管 / 脈管侵襲 / 胃癌 / 結腸癌 / LYVE-1抗体 / 接着因子 / MMP |
Research Abstract |
1.結腸早期癌(sm癌)の検討は前年度に終了したが、これに引き続き胃癌・結腸癌の全例について、リンパ節転移における組織学的規定因子の解析を行った。 2.結腸癌について、LYVE-1抗体を用いた免疫組織化学にて同定されたリンパ管侵襲、 vWF抗体による血管侵襲、癌の浸潤度、癌細胞のclaudin発現程度、組織型と、リンパ節転移との関連を統計学的解析を施行。mp癌・ss癌の両者において、リンパ管侵襲及び組織型が独立した危険因子であった。 3.胃癌について同様に検討したが、リンパ管侵襲は、sm癌・mp癌・ss癌の3群ともリンパ管侵襲が独立した危険因子であった。リンパ管侵襲はLYVE-1抗体で確認したが、どの群においても主に癌組織周囲に観察され、特にsm層の間質内に分布することが多い。これに対し、血管侵襲は癌組織内にも観察される点で異なっていた。また、癌周囲のリンパ管密度を計測したところ、リンパ節転移の有無による相違はなく、癌細胞のリンパ管侵襲におけるリンパ管増生の客観的証拠は得られなかった。 4.さらに、胃癌細胞の接着因子及び膠原線維分解酵素の発現とリンパ節転移との関連を検討したところ、MMP-1のみが独立したリンパ節転移の危険因子であった。接着因子であるclaudin-3, claudir4, β-cateninの発現は、低分化型腺癌で発現低下しており、組織型に有意に関連していたが、リンパ節転移との直接的関連を認めなかった。したがって、胃癌のリンパ節転移には細胞接着機能よりも間質の浸潤能の方が強く関連していると考えられた。 以上より、リンパ管の客観的識別を施行したうえでのリンパ管侵襲や血管侵襲のリンパ節転移における役割の再検討は、よりリンパ管侵襲の重要性を再認識した結果となり、今後の消化管癌の組織観察において、癌周囲のリンパ管侵襲の観察に重点を置くべきであると思われた。
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Research Products
(3 results)