2008 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージに発現するNa+/Ca2+交換体の粥状硬化進展機序における役割
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19590372
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
坂田 則行 Fukuoka University, 医学部, 教授 (20134273)
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Keywords | 粥状硬化 / マクロファージ / Na+ / Ca2+交換体 / マトリックスメタロプロテアーゼ / プラーク破裂 / トポグラフィー / 内膜剥離術 |
Research Abstract |
1.頚動脈プラークの破裂に関するtopographical study:昨年度以降に内膜剥離術で採取された頚動脈プラーク17例から血管長軸に垂直の連続標本を作製し、実体顕微鏡および光顕下に観察し、破裂部位の組織分布とその性状について検討した。17例中プラーク破裂例は8例、非破裂例は9例であった。破裂例(M/F:7:1)では非破裂例(M/F:3/6)に比べ男性の割合が多かった。内膜の亀裂は、長軸方向では内頚動脈入口部に最も多く、その部を中心にプラーク内出血を認めた。垂直断面では、プラークを覆う線維性被膜に亀裂が生じ、亀裂断端部にはコラーゲンの破断と破断部への泡沫化マクロファージの浸潤を認めた。2.頚動脈プラークの破裂におけるマクロファージの関与:凍結標本を用いプラークに浸潤するマクロファージにおけるマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP1,MMP2,MMP7,MMP9)の発現を免疫組織化学的に検討した。内膜に浸潤するマクロファージにはMMP2とMMP9は強く発現したが、MMP1,MMP7は発現しなかった。3.内膜組織におけるNa+/Ca2+交換体(NCX)蛋白の発現:内膜組織を粥状硬化部と非粥状硬化部にわけ、凍結保存した。組織のホモジネートを作成し、その蛋白抽出液をSDSで展開し、Western blotting法で解析した。粥状硬化部では抗NCX1抗体に反応する105kDのバンドが観察されたが、非粥状硬化部には見られなかった。以上の成績から、ヒトの粥状硬化部のプラーク被膜に亀裂が起こり、プラーク破裂が発生する。この被膜の亀裂には内膜に浸潤するマクロファージのNa+/Ca2+交換体(NCX)蛋白発現とMMP2とMMP9の産生放出が関与していることが示された。
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Research Products
(9 results)