2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590374
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
久保 幸穂 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 助手 (00280769)
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Keywords | 重症筋無力症 / MuSK / モデル動物 / 神経筋シナプス / AChR |
Research Abstract |
(1)MuSK自己抗体による筋無力症発症モデル動物を用いた分子病態解析 我々はマウスにMusK抗原を免疫して重症筋無力症を発症させることに成功している.発症したマウスの筋電図を測定したところ患者と同じ漸減反応をしめした.さらに補体欠損マウスに対しても同様に発症モデルを作成することに成功した.これらのマウスモデルを使って病態解明を行っている.ウサギモデルで得た結果を裏付けることができた.さらに抗MuSK抗体重症筋無力症患者に対する候補治療薬のスクリーニングを現在進めている.患者由来の抗MuSK抗体を得ることができたので同様に検討を継続して進めていく. (2)抗MuSKモノクローナル抗体による筋無力症の分子病態解析 モノクローナル抗体を直接マウスに投与して発症するか検討するため作成した抗体のMusKに対する反応性を検討した.ELISAに加え、ウエスターン解析、および免疫抗体染色で細胞表面のMuSK分子を認識する抗体を複数得ることができた。抗MuSK抗体のMuSKに対する機能の解析を行ったところ、agrinの代わりにC2C12細胞のAChR凝集を誘導する抗体を得ることができた、これらの抗体がマウス成体内で重症筋無力症を発症するかどうか今後検討する. (3)MuSKの機能と筋無力症の発症分子メカニズムの解析 抗MuSK抗体はウサギの神経筋シナプスのAChRを減少させ筋麻痺を発症させるにもかかわらず、MuSK蛋白のタイロシンリン酸化活性をむしろ誘導する.そこでMuSK抗体のIgGをパパインで処理して抗原結合部使が一価のみ有するFabフラグメントを作成して、もとの二価のIgGと同様にagrinによるAChR凝集を抑制するかどうか検討した.その結果、二価の抗MuSK抗体と同様にagrinによるAChR凝集を強く抑制することを明らかにした.このことから我々が提唱している発症機構を裏付ける結果を得た.{(a)MuSKの機能を直接阻害する、(b)MuSK蛋白の発現減少(antigenic modulation)の結果MuSKの機能を抑制する、おそらく(a)と(b)の両者が作用している.}AChR凝集をタイムラプスイメージング法で解析するために、C2C12細胞のAChRとGFPの融合遺伝子をレトロウイルスベクターで導入し発現細胞を得た.AChR-GFPはagrin誘導で凝集させることができ、イメージング観察を行うことが可能となった. モデル動物および患者由来の自己抗体を使って機能解析を進めている.
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