2008 Fiscal Year Annual Research Report
独自に開発したFISHテロメア長測定法による膀胱癌を用いた悪性化の進展過程の解明
Project/Area Number |
19590375
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology |
Principal Investigator |
泉山 七生貴 Tokyo Metropolitan Institute of Gerontology, 東京都老人総合研究所, 助手 (10158751)
|
Keywords | テロメア / セントロメア / Q-FISH |
Research Abstract |
(1)DNAの抽出と検定:これまで蓄積したサザンブロット法によるデータとの比較は重要なことと考え、膀胱癌組織についてもサザンブロット法用のDNA抽出を行った。しかし、カルノア固定カリオタイプ分析用標本からは、十分なDNA量がえられずジェノフィールド電気泳動法によるDNAの変性の有無やサザンブロット法によるテロメア長の測定ができないことがわかった。 (2)Q-FISHによる分裂中期展開標本のテロメア長測定:カルノア固定で保存されている120サンプルについて、カリオタイプ分析が完了しているものを含めて再度分析を行った。組織学的異型度がG1からのサンプルは2n=46が多く、G2の多くは2n=46とそれ以上、G3の多くは80本程度の染色体数であることがわかった。これらのモザイクサンプルを用いて、2n=46のカリオタイプを示す染色体のテロメア長を求めてG1と比較検討した。 外科的切除された6例の膀胱癌組織の初代培養癌細胞で染色体46本のDiploid 5例(年齢55〜82歳、男2例、女3例)と46本以上1例について検討した。Diplold 5例の平均テロメア長は6.7kbpでした。その他の1例はNeuroendocrine carcinoma例で46本とそれ以上の染色体を含むもので、このカリオクイプは未実施でその平均テロメア長は6.3kbpであった。G2、G3混在型が46本のうちでは最も短縮しておりテロメア長と異型度の関係が示唆された。 染色体のp、q腕別の測定結果では5例に共通して有意に短縮する染色体はないが、Kras遺伝子搭載12pは5例中3例で有意に短縮していた。 染色体不安定性の指標であるアナフェーズブリッジの出現頻度はテロメア長と逆相関を示し、テロメア短縮が染色体不安定性に深く関与していることが明らかになった。
|