2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590384
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
板野 直樹 Shinshu University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40257712)
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Keywords | 糖 / ヒアルロン酸 / マトリックス / リンパ管 / 癌 |
Research Abstract |
乳腺腫瘍および乳腺上皮においてヒアルロン酸を過剰産生する乳癌自然発症モデルマウスを用いて、ヒアルロン酸細胞外マトリックスが腫瘍関連マクロファージ(TAM)を乳腺腫瘍内に動員する機構について解析した。更にTAMと血管新生・リンパ管新生との関係について検討を行った。ヒアルロン酸過剰産生群のマウス乳癌組織を、マクロファージ特異的なマーカーであるF4/80にて免疫染色すると、腫瘍間質へのマクロファージ動員が顕著に認められた。そこでTAMの腫瘍間質への動員機構を検討するために、ヒアルロン酸過剰産生群の腫瘍より樹立した癌細胞および腫瘍関連線維芽細胞(TAF)を用いてマクロファージの接着実験を行った。その結果、マクロファージは癌細胞に比べてTAFに対してより接着すること、そしてその接着にヒアルロン酸マトリックスが部分的に関与していることを見出した。これらの結果から、腫瘍内へのTAMの動員には、TAFとそれらが形成するヒアルロン酸微小環境が重要であると推測された。次に、Clodronate liposomeによりマクロファージを枯渇したモデルマウスを作製し、TAM存在下および非存在下での血管新生やリンパ管新生について検討した。その結果、腫瘍内マクロファージの涸渇により、腫瘍血管やリンパ管の形成が著しく阻害されていることを明らかにした。以上の結果は、ヒアルロン酸細胞外マトリックスが、腫瘍内微小環境を修飾することでマクロファージの動員と腫瘍血管並びにリンパ管の形成に働くことを示唆している。
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