2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590384
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
板野 直樹 Shinshu University, 大学院・医学研究科, 准教授 (40257712)
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Keywords | 糖 / ヒアルロン酸 / マトリックス / リンパ管 / 癌 |
Research Abstract |
腫瘍間質を構成するヒアルロン酸糖鎖がリンパ管新生に働く機構と、それに関わる分子実体の解明を目的として、新規に樹立した乳癌モデルマウスを用いて分子病理学的解析を施行した。本年度は先ず、ヒアルロン酸過剰産生群と対照群の乳癌について、リンパ管新生に中心的な役割を果たす腫瘍関連マクロファージ(TAM)についてFACS解析を施行した。M2マクロファージの細胞表面マーカーであるCD206を指標にFACS解析を行った結果、ヒアルロン酸過剰産生乳癌においてM2マクロファージが、対照乳癌に比して多く動員されていることが明らかとなった。以上の事実から、当該マクロファージが、腫瘍の成長や血管新生・リンパ管新生の促進に働くTAMである可能性が示唆された。また、TAMの腫瘍間質への動員機構を検討するために、ヒアルロン酸過剰産生群の腫瘍より樹立したがん細胞および腫瘍関連線維芽細胞(TAF)を用いてマクロファージの接着実験を行った。その結果、マクロファージはがん細胞に比べてTAFに対してより接着すること、そしてその接着にヒアルロン酸マトリックスが部分的に関与していることを見出した更に、乳癌組織における遺伝子発現をDNAマイクロアレイとリアルタイム定量RT-PCR法により解析した。その結果、ヒアルロン酸過剰産生乳癌では、リンパ管新生因子のVEGF-CとケモカインのCXCL12について発現の亢進を認めた。上記結果は、間質線維芽細胞の形成するヒアルロン酸リッチな腫瘍微小環境が、腫瘍関連マクロファージの動員とその後の血管・リンパ管新生に重要な役割を果たしていることを示唆している。
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