2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌組織の血管新生、転移における変異型p53-FGF-1経路の影響
Project/Area Number |
19590386
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
野本 周嗣 Nagoya University, 医学部附属病院, 助教 (40300967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕谷 英樹 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (00402636)
中尾 昭公 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70167542)
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Keywords | VEGF遺伝子 / VEGF-B遺伝子 / isoform / VEGF-C遺伝子 / methylation / de-methylation / FGF-1遺伝子 / p53遺伝子 |
Research Abstract |
癌組織の血管新生において、p53-FGF-1経路に影響を及ぼすVEGF遺伝子群の発現を検討してみた。今回我々は、肝細胞癌におけるVEGF-B,VEGF-Cに焦点をあてて、発現程度や予後に対する影響,発現制御の機序について検討した。 VEGF-Bの検討では、癌部で総VEGF-B発現量が増加した群では、有意に進行病期,多発腫瘍,脈管侵襲,Fc(-)が多く、VEGF-Bの発現がHCCの増殖,進展に関与することが示唆された。各isoformの検討では、癌部で発現が増加した症例の比率,臨床病理学的因子との関連性,予後との関連性のいずれもVEGF-B167は総VEGF-Bに類似した結果を示し、VEGF-Bの発 は、HCCにおいて腫瘍の増大や進展に関与していることが示唆され、また、VEGF-B167は、臨床的に優位なisoformと考えられる結果が得られた。 VEGF-Cの検討では、HCCにおけるVEGF-Cの発現はepigeneticな機序にて制御され、約半数はmethylationにより癌部で発現が低下していたが、少数ながら、正常部でmethylation,癌部でde-methylationを示し、発現が上昇する症例を認め、リンパ節転移にも留意する必要があると考えられた。 また、FGF-1遺伝子はp53遺伝子により転写活性化されている。転写活性能はp53遺伝子のwild typeが最も強力であった。しかし、mutant typeのp53遺伝子はwild typeとの共発現でwild typeだけの発現よりもさらに強力な転写活性を示した。 これは、ヒト癌組織でしばしば認められるp53遺伝子がheteroのalleleで変異を来した状態であり、癌組織ではより強いFGF-1遺伝子の転写活性が示されるものと考察された。
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