2007 Fiscal Year Annual Research Report
ストレス環境下のアポトーシス/オートファジーと制御癌の悪性化
Project/Area Number |
19590388
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
井上 寛一 Shiga University of Medical Science, 医学部, 准教授 (30176440)
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Keywords | アポトーシス / オートファジー / 癌抑制遺伝子 |
Research Abstract |
我々が作製したDrsノックアウト(KO)マウスでは約30%に悪性腫瘍が発生することから,Drsは悪性腫瘍発生に癌抑制遺伝子として働くと考えられる。本年度は,主としてDrs KO細胞を用いて以下のことを明らかにした。 1.ATLリンパ腫組織および細胞株では高頻度でDrs遺伝子の発現が消失していることを明らかにした。また,Drs発現が消失しているATL細胞株HUT102にレトロウイルスベクターによりDrs遺伝子を導入し,低血清培地で培養するとアポト-シスが誘導されることを見出した。 2.低血清下で培養することによって誘導されるautophagyをDrs KO MEF細胞とWT MEF細胞で比較検討することによって,Drsがautophagosomeからautolysosomeに移行する後期成熟過程の進行に関与していることを明らかにした。 3.新たなDrs結合分子としてautophagy制御に関与すると考えられているRab24とRab7分子を同定した。Rab24はオートファジー誘導時に発現誘導され,Drsと結合し共局在化することを見出した。 4.Drs結合蛋白として同定したストレス応答蛋白GADD34は,グルコース飢餓やウイルス感染により誘導され,TSC2蛋白と複合体を形成し,そのリン酸化を制御することでmTOR経路を抑制し蛋白合成を抑制することを見出した。 5.GADD34 KO細胞とDrsKO細胞は,グルコース飢餓条件ではアポトーシスを起こし,ウイルス感染に対しては増殖抑制ができないことから,同じ表現型を示し,これらの遺伝子が機能的にも関連していることを明らかにした。 以上の結果から,癌抑制蛋白DrsがRab24やGADD34との結合を介してストレス環境下でのアポトーシス/オートファジー制御に関与することが明らかになって来た。これらの成果は癌の悪性化の分子機構の解明に貢献するものと考えられる。
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