2009 Fiscal Year Annual Research Report
大腸発癌過程におけるNotchシグナル経路による分化仰制機構の分子病理学的検討
Project/Area Number |
19590397
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
森岡 孝満 University of the Ryukyus, 医学部, 助教 (70253961)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉見 直己 国立大学法人琉球大学, 医学部, 教授 (30166996)
|
Keywords | ラット大腸発癌モデル / 大腸癌 / Notch1 / K1f4 |
Research Abstract |
Notch遺伝子及びNotchシグナル経路は、種々の細胞の発生・分化・増殖など細胞の運命決定に重要な役割を担っており、Notchシグナル経路の正常からの逸脱が腫瘍化へ導かれることが知られている。一方、Kruppel様転写因子4(k1f4)は、Oct4,Sox2,c-Mycと共にiPS細胞(induced pluripotent stem cell)作製に利用された遺伝子として知られ、細胞分裂と胚発生に深く関与するとともに、消化管系腫瘍においては癌抑制因子として報告されている。近年、消化管においてNotchによりk1f4の発現が抑制され、その結果として杯細胞への分化が抑制されることが報告されている。ラット大腸発癌モデルで作製した腫瘍の殆どは、杯細胞の消失した組織像を呈することより、ラット大腸腫瘍におけるNotch1とK1f4の発現に関して検討した。大腸発癌モデルを用いて作製した腫瘍33個と非腫瘍部10ヶ所におけるNotch1とK1f4遺伝子のmRNA発現を検討した結果、腫瘍部及び非腫瘍部におけるNotch1の発現は、それぞれ2.77±0.26、0.90±0.16であり、腫瘍部におけるNotch1発現が非腫瘍部に比較して有意に上昇していることが分かった。一方、K1f4の腫瘍部及び非腫瘍部における発現は、それぞれ0.79±0.08、2.15±0.20であり、腫瘍部におけるK1f4発現が非腫瘍部に比して有意に減少していることが認められた。また、Notch1に関しては、免疫組織化学染色で腫瘍細胞の細胞質に陽性所見を認めたが、正常細胞では認められなかった。以上より、Notch1の発現亢進は杯細胞の減少に関わるK1f4減少とともに、大腸発癌に関与する可能性が示唆された。
|
Research Products
(3 results)