2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590398
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
千葉 英樹 Sapporo Medical University, 医学部, 准教授 (00295346)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 典均 札幌医科大学, 医学部, 教授 (30154149)
稲富 周一郎 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (10437999)
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Keywords | 病理学 / 細胞・組織 / 核内受容体 / 細胞極性 / 細胞間接着装置 |
Research Abstract |
タイト結合は外側基底膜の最も細胞頂部で上皮細胞間をシールし、細胞間隙における分子やイオンの通過を制御するバリア機能を担っている。近年多くのタイト結合構成分子が同定されており、occludin, claudin, junctional adherens molecules(JAM)といった膜貫通分子と多数の膜裏打ち分子が知られている。このうちclaudinファミリーは、細胞間隙における分子通過すなわちタイト結合のバリアにとって最も重要な分子である。 カルシウムイオン(Ca^<2+>)は腸上皮細胞から吸収され、その経路には細胞内を通るtranscellular pathwayと細胞間隙を通るparacellular pathwayが知られている。また活性型ビタミンD_3は、transcellular pathwayによるCa^<2+>吸収を亢進させる最も重要なホルモンの一つである。しかし、paracellular pathwayを介したCa^<2+>吸収に関わる分子や、そのビタミンD_3依存性は明らかではない。 本研究では、ビタミンD受容体ノックアウト(VDRKO)マウスの腸組織とビタミンD_3依存性ヒト腸上皮細胞株を用いて、活性型ビタミンD_3が核内ステロイド受容体スーパーファミリーに属するVDRを介して、腸上皮におけるタイト結合膜貫通分子claudin-2とclaudin-12の発現を誘導することを見出した。また、これらのclaudinsが腸上皮細胞間でCa^<2+>のparacellular channelsを形成し、Ca^<2+>の細胞間隙通過を制御することを突き止めた。本研究は、カルシウム代謝に新規の知見を加えた。Ca^<2+>のparacellular channelsを同定した本研究を基盤として、Ca^<2+>を効率よく吸収・通過させることが可能になれば、骨粗鬆症やカルシウム代謝異常に対する新たな予防・治療戦略になることが期待される。
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