2007 Fiscal Year Annual Research Report
Rasトランスジェニックラットを用いた発がん起始細胞の同定
Project/Area Number |
19590401
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
深町 勝巳 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (90381798)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津田 洋幸 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 教授 (10163809)
ALEXANDER David 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 客員教授 (90381805)
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Keywords | 膵がん / ras / トランスジェニックラット |
Research Abstract |
膵がんは早期発見が最も難しいがんのひとつであり、診断されたときにはすでに切除できない場合が多い予後不良な難治がんである。膵がんの起始細胞とがんの進展過程を把握することにより、新たな膵がん診断と治療の開発が期待される。そのためには、膵がんの特にヒト膵がんのモデルとなり得る動物モデルの開発が必要である。これまでに我々は、Cre/loxPシステムを用いたヒト活性型Hrasトランスジェニックラット(Hras250)において、膵管にCre発現アデノウイルスベクター(AdexCre)を注入しヒト活性型Hras遺伝子を膵臓に発現させることにより、膵管がんを発生させる方法を開発してきた。本研究では、膵がんでは効率にKrasに遺伝子変異がおきていることから、よりヒトに近い動物モデルを作製するため、コンディショナルヒト活性型Krasトランスジェニックラット(Kras327)を作製した。Hras250と同様に、膵管にAdexCreを注入することによりKras327に膵管がんを発生させることに成功した。発生した膵初期病変、膵管がんは病理学的にヒトと良く類似しており、Kras327はヒト膵がんモデルとなり得ると考えられた。さらに、腺房特異的Cre発現アデノウイルスにより成獣のHras250、Kras327の膵腺房細胞に活性型Ras遺伝子を発現させても膵がんは発生しないことが明らかとなった。したがって、マウスモデルでは、腺房細胞からの脱分化により膵管がん様の腫瘍が発生することが報告されているが、我々のモデルでは成熟した腺房細胞からは膵管がんは発生しないことが強く示唆された。
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Research Products
(3 results)