2008 Fiscal Year Annual Research Report
Rasトランスジェニックラットを用いた発がん起始細胞の同定
Project/Area Number |
19590401
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
深町 勝巳 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 助教 (90381798)
|
Keywords | 膵管がん / ras / トランスジェニックラット |
Research Abstract |
膵がんは早期発見が最も難しいがんのひとつであり、診断されたときにはすでに切除できない場合が多い予後不良な難治がんである。膵がんの起始細胞とがんの進展過程を把握することにより、新たな膵がん診断と治療の開発が期待される。そのためには、膵がんの特にヒト膵がんのモデルとなり得る動物モデルの開発が必要である。これまでに我々は、Cre/loxPシステムを用いたヒト活性型HrasまたはKrasトランスジェニックラット(Hras250、Kras327)において、全ての感染細胞で非特異的に発現するCre発現アデノウイルスベクター(AdexCre)を成獣の膵臓に注入し、ヒト活性型Rasを発現させることにより、4週間程度の短期間に膵管がんを発生させる方法を開発してきた。Rasの配列は種・相同遺伝子間で相同性が高くこれまで導入遺伝子の発現細胞を同定することは困難であった。しかし、Kras327ラットではKrasにHAタグを付加しているため、HA抗体を用いて容易に活性型Kras発現細胞を同定可能となった。膵腺房細胞のみに特異的に標的とするCre発塑アデノウイルスベクター(Amy-Cre)を作製し、Kras327ラットの膵に注入すると、腺房のみで活性型Krasが発現することが確認された。膵腺房細胞にのみ活性型Rasを発現させたが、8週間、さらに6ヶ月経過後も腺房細胞癌を含む腫瘍性病変は発生しなかった。したがって、我々のモデルでは成獣の腺房以外の細胞から膵管がんは発生することが強く示唆された。今後、他の膵構成細胞を標的とするCre発現アデノウイルスベクターを用いて、いずれの細胞から膵管がんが発生するか追究したい。
|
Research Products
(2 results)