2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19590402
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
傳田 阿由美 Nara Medical University, 医学部, 講師 (90110858)
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Keywords | 肝幹細胞 / 前駆細胞 / oval cell / 前癌性病変 / 肝発癌 / EpCAM / Thy-1 / 移植実験 / CD133 |
Research Abstract |
肝細胞癌は肝幹細胞/前駆細胞に由来するのか?本研究の目的は、ラット肝発癌モデルを用いたprospectiveな手法によりこの命題に答えることにある。発癌モデルとして「肝幹細胞/前駆細胞」とされるoval cellの関与するResistant hepatocyte(RH)モデルを用いた。前年度は共焦点顕微鏡(CFM)を用い、 heterogeneousな細胞集団とされるoval cellに発現する種々の幹細胞マーカーの発現動態を解析し、Thy-1, c-kit, CD34, EpCAM(epithelial cell adhesion molecule)発現細胞が前癌性病変とされるGST-P陽性巣の発生と進展に関与する事を示唆した。本年度は以下の結果を得た。1. EpCAMまたはThy-1陽性oval cellはGST-P陽性巣を発生せしめる:(1)方法:RHモデルは、 DENの一回腹腔内投与→2週目より2-AAF含有食を2週間投与[中間点で肝部分切除(PHI)]→5週目にGST-P陽性巣の検索から成る。緑色蛍光のEGFP遺伝子導入ラットのDEN+2-AAF+PH4週目の肝から磁気細胞分離法によりThy-1, c-kit, EpCAM各陽性oval cell分離し、2-AAF+PH直後の野生型ラット肝に経脾、経脾静脈的に2〜7x10^6個移植、5週目の凍結肝2葉各1切片を用いCFMによりEGFP陽性のGST-P陽性巣の発生を検索した。(2)結果:Thy-1発現細胞を移植したラット7匹中3匹に各1-2個の、 EpCAMでは2匹中2匹に各2-3個のEGFP陽性GST-P陽性巣の発生をみ、 c-kitでは3匹中3匹で発生をみなかった。(3)意義:発癌物質によりin itiateされたEpCMAまたはThy-1発現「肝幹細胞/前駆細胞」が前癌性病変を発生せしめ得ることを強く示唆する国内外において初めての知見であり、今後大きな展開をもたらし得る。2.肝幹細胞マーカーCD133の発現動態:RHモデルの各時期にCFMにより検索した結果、 GST-P陽性巣周囲の細胞浸潤域にて、常にThy-1発現細胞の周囲に血管内皮様、時にoval cell様の染色像をみ、 GST-P陽性巣内ではCD133陽性のoval cell様または小〜中型肝細胞様細胞が散見された。今後移植実験によりその発癌への関与の有無を明らかにする必要がある。
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Research Products
(1 results)