2008 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性大腸発がんにおける一酸化窒素のジェネティック作用とエピジェネティック作用
Project/Area Number |
19590407
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
甲野 裕之 Kanazawa Medical University, 看護学部, 教授 (20221236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉江 茂幸 金沢医科大学, 医学部, 教授 (60187648)
田中 卓二 金沢医科大学, 医学部, 教授 (40126743)
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Keywords | 炎症性大腸発がん / ジェネティック作用 / エピジェネティック作用 / 一酸化窒素 / サイトカイン / iNOS |
Research Abstract |
炎症を背景とする大腸がん発生および進展における一酸化窒素(NO)のジェネティック作用とエピジェネティック作用を検討する目的で研究を行った。大腸がん誘発物質Azoxymethane (AOM)と大腸炎誘発物質dextran sodium sulfate (DSS)による炎症関連大腸発がんモデルを用いたNO合成酵素(NOS)阻害薬によるプロモーション相への影響を検討した結果、大腸腫瘍の発生個数に有意な減少は認めなかった。また、発生した腫瘍ではβ-catenin遺伝子変異のジェネティックな変化が観察されたものの、NOS阻害薬と陽性対象群間に有意な差は認められず、NOによるプロモーション相への関与は少ない可能性が示唆された。NOによるエピジェネティック作用の検討では、前年度解析したestrogen receptor lexon2領域以外の領域についてDNAメチル化解析を行った。AOM/DSSによる炎症関連大腸発がんモデルにおいて、実験開始後10週目の非腫瘍部の大腸粘膜におけるメチル化解析を行ったところ、AOM/DSS投与群ならびにDSS投与群において、未処理対象群に比べ有意なDNAメチル化の上昇を認めたが、腫瘍が発生したAOM/DSS投与群と腫瘍の認められなかったDSS投与群間に有意な差は認められなかった。一方、発生した大腸がんを解析した結果、大腸がん特異的にメチル化される候補領域が見出された。本研究により、炎症を背景とする大腸がん発生および進展において、NOは大腸がんの発生初期段階では主にジェネティックな変化に関与し、がんの進展過程ではエピジェネティックな変化に関与する可能性が示唆された。これらの成果は炎症を背景とするがん発生へのNOの産生制御を利用した発生予防への応用に役立つものと考える。
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Research Products
(3 results)