2008 Fiscal Year Annual Research Report
交感神経系神経堤幹細胞及び神経芽腫cancer stem cellsの分離・同定
Project/Area Number |
19590409
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
黒川 景 Aichi Medical University, 医学部, 講師 (90399030)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 寿秀 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (00283432)
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Keywords | 癌幹細胞 / 神経芽細胞腫 / 交感神経神経堤幹細胞 |
Research Abstract |
副腎髄質と交感神経節は、未分化な神経堤幹細胞から交感神経細胞とシュワン細胞に分化する。最近、末梢神経組織では、シュワン細胞のみならず、endoneuriumの線維芽細胞ないし筋線維芽細胞も神経堤由来であることが示されている。我々の検討では、多くの神経芽腫の細胞株で、末梢神経細胞とシュワン細胞のマーカーを発現する細胞とともに、少数smooth muscle actin陽性の筋線維芽細胞様の細胞がみられた。神経芽腫のcancer stem cellsないしcancer initiating cellsは、神経系、シュワン細胞系、筋線維芽細胞系への多分化能を持つ細胞であることが想定され、副腎髄質や末梢神経に分化する神経堤由来幹細胞のcounter partをなすと考えられる。神経芽腫細胞株SK-N-SHのクローン化を行うと、多くの株では末梢神経系マーカーに限定した発現を示したが、シュワンないし筋線維芽細胞への分化を示す株や3系統への分化を示す株が少数得られた。レチノイン酸、Brd-U、TGFβは、それぞれ末梢神経系、シュワン系、筋線維芽細胞系への分化を誘導するが、末梢神経系クローンでは、シュワンないし筋線維芽細胞への分化を示さないのに対し、シュワン・筋線維芽細胞系クローンでは、レチノイン酸処理で末梢神経系マーカー発現細胞へ少数分化した。シュワン・筋線維芽細胞系クローンは、継代中に一部から末梢神経系マーカーを示す細胞が出現した。血清無添加の神経堤幹細胞維持条件のメディウムでは、シュワン・筋線維芽細胞系クローンのみsphere様の増殖を示した。以上より、SK-N-SHでは、腫瘍細胞の多くが末梢神経系に分化した細胞で占められるが、少数多分化能を持つ細胞が存在することが示唆され、シュワン・筋線維芽細胞系細胞群からそのような細胞が出現する可能性が示唆された。これらの所見は、神経芽腫においてcancer initiating cellsとepithelial-mesenchymal transitionとの関係を示す1つのモデルとなる可能性も考えられる。
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Research Products
(2 results)