2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規の老化モデルマウスにおける老人性疾患の病態解明
Project/Area Number |
19590422
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
瀧口 総一 Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center, 臨床研究部, 研究員 (00280793)
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Keywords | 老化 / 老人性骨粗鬆症 / クロマチン / NuRD / Mta1 / 生殖機能低下 / ノックアウトマウス / 細胞老化 |
Research Abstract |
Mta1は高転移性乳癌細胞において高発現する遺伝子として同定され、ヒトの乳癌細胞内で強制的に発現させると浸潤性や足場非依存性増殖の上昇が観察されるため癌転移関連遺伝子と考えられる。また生化学的な解析によりNuRD蛋白質複合体のサブユニットであり、クロマチン構造変換を介した遺伝子転写の調節に関与することが報告されている。本研究ではMta1の生物個体における機能を明らかにすることを目的としている。そのため定法に従ってMta1ノックアウトマウスを作成しその表現型を解析した。本マウスは出生するが、メンデル比から予想されるよりも出生数は少ないので発生の段階に何らかの問題がある可能性がある。出生後、本マウスは野生型マウスと比較して矮小であり、精巣・卵巣の臓器重量が有意に低下しているが、全くの不妊ではなく生殖機能を低レベルで有していた。本マウスは早期に老化の特徴的な症状(骨の異常、血液細胞の異常、血管の異常、皮膚の萎縮、脱毛)を示すようになり、野生型マウスと比較して短寿命であった。骨の異常についてCTおよび骨形態計測により詳細に検討した結果、皮質骨および海綿骨の両方において骨塩量の減少を認め、骨吸収面および形成面の減少が認められた。この成績は、本マウスで見られる骨病変が低回転型(老人性)骨粗鬆症であることを示しており、従ってMta1ノックアウトマウスは、新規の"老人性骨粗鬆症モデルマウス"であると考えられる。現在そのほかの老化に類似した表現型についても解析を進めている。
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