2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規の老化モデルマウスにおける老人性疾患の病態解明
Project/Area Number |
19590422
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Research Institution | Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center |
Principal Investigator |
瀧口 総一 Department of Clinical Research, National Hospital Organization National Kyushu Cancer Center, 独立行政法人国立病院機構九州がんセンター臨床研究部, 研究員 (00280793)
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Keywords | 老化 / 老人性骨粗鬆症 / クロマチン / NuRD / Mta1 / ノックアウトマウス / 細胞老化 / モデル動物 |
Research Abstract |
がん転移関連遺伝子(MTA1)は、ラット乳ガンより樹立された高転移細胞株で高発現している遺伝子として単離され、ヒトの癌でも悪性度と対応して高発現していることが示れた。MTA1を強制発現させた細胞では悪性度の指標である運動能、浸潤性、足場非依存性の増殖が高まることより、がんの悪性化に積極的に関与していることが示唆されている。また、生化学的な解析よりnucleosome-remodeling histone-deacetylase(NuRD)複合体に存在するhistone deacetylase 1/2(HDAC1/2)と相互作用し、クロマチンの構造変による遺子発現調節にコリプレッサーとして関与し、HDAC活性発現に必須であることが知られている。本研究では、哺乳類の個体でのMta1の機能解析を目的として、Mta1遺伝子のノックアウトマウスの作成を行った。Mta1(+/-)同士の交配から得られたMta1(-/-)マウスはメンデル比で予想されるよりも少なく、大部分は胎生期に致死すると考えられる。成体のMTA1(-/-)マウスは、矮小化および睾丸、卵巣、副腎等の臓器重量の減少が観察された。また、MTA1(-/-)MEFでは、継代培養ストレスに対する感受性の閾値が低下しており、細胞老化の傾向が観察された。さらに129sv/B6遺伝的背景のMta1(-/-)マウスでは、1年齢を過ぎたころより老人性(低回転型)骨粗鬆症、脊柱の彎曲、皮膚の萎縮その他老化に類似した表現型を示し始め、野生型マウスに比べて短寿命(野生型の約2.5年に対して約1.7年)であることが判明した。コリプレッサーであるMTA1をノックアウトすることにより遺伝子発現調節に変化が生じ早期老化等の影響が出たことが考えられる.よってMTA1は細胞および個体のレベルでストレスに対する防衛機構に対して抑制的に関与することが予想される。
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